文部科学省は「学校図書館の現状に関する調査」を実施。2020年度の調査結果によると、学校司書の配置は小中学校では増加しているが、高等学校は減少していることが明らかとなった。
■学校図書館の人的整備や物的整備の状況などを調査
本調査の調査対象は、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校、義務教育学校及び中等教育学校。学校図書館における人的整備の状況や物的整備の状況、学校図書館の活用および読書活動の状況などについて調査を実施した。
■学校司書を配置している学校は高等学校で減少
「学校司書」を配置している学校の割合は、小学校68.8%、中学校64.1%、高等学校63.0%。2016年調査時は小学校58.8%、中学校58.0%で増加しているが、高等学校は66.6%で3.6%減少している。中学校は私立学校で2016年は70.4%だったのが2020年度は42.0で大きく減少している。
■学校図書館図書標準は十分とは言えない状況にある
学校図書館図書標準を達成している学校の割合は、2021年末の段階で、小学校71.2%、中学校61.1%。2015年末の段階では小学校66.4%、中学校55.3%で増加しているものの、その割合はいまだ十分とは言えない状況にある。
■新聞を配備している学校も着実に増加
新聞を配備している学校の割合は、小学校56.9%、中学校56.8%、高等学校95.1%。前回調査の2015年の時点では小学校41.1%、中学校37.7%、高等学校91.0%だったので着実に増加している。蔵書をデータベース化している学校も小学校80.5%、中学校79.3%、高等学校92.2%で前回調査よりも増加している。
■全校一斉の読書活動はわずかながら減少
全校一斉の読書活動を実施している学校の割合は小学校90.5%、中学校85.9%、高等学校39.0%でわずかながら減少している。それ以外で多い読書活動推進のための取組は小学校が「図書の読み聞かせの実施」の95.0%、中学校と高等学校が「必読書コーナー、推薦コーナーの設置」で、それぞれ84.5%、84.4%となる。
■授業では国語や総合的な学習で学校図書館を活用
授業における学校図書館の活用状況は、国語の授業(小学校94.7%、中学校72.8%、高等学校56.6%)、総合的な学習(探究)の時間(小学校86.7%、中学校65.9%、高等学校35.8%)が多くなっている。
■ボランティアと連携している学校は小学校に偏る
ボランティアと連携している学校の割合は小学校が圧倒的に高く78.7%。中学校は27.9%、高等学校は2.5%となっている。公共図書館と連携している学校の割合は小学校86.0%、中学校65.4%、高等学校54.5%でいずれも着実に伸びている。
■今後は「学校図書館図書整備等5か年計画」に基づき整備を進める
今後の対応としては、学校司書、図書及び新聞については「学校図書館図書整備等5か年計画」に基づき、地方財政措置が講じられており、引き続き、計画的な整備を進めていく。また、学校図書館を活用した授業改善や読書活動の推進のための学校司書の配置等による効果的な取組事例の横展開などを行っていく。
■「学校図書館ガイドライン」を参考に学校図書館の充実を促す
学校においては、校長のリーダーシップの下、「学校図書館ガイドライン」を参考に学校図書館の適切な運営や利活用など学校図書館の充実を促していく。