東京・上野公園の国立科学博物館は、夏休みの読書感想文や自宅学習など、小中高生におすすめの、同館研究員が執筆した図書6作品を紹介する。
■「かはく研究者の裏話」が分かる
おすすめの6作品には、研究者になるまでの道のりや研究者の活動現場の様子、取り組んでいる研究内容の紹介など、普段伝える機会があまりなかった『かはく研究者の裏話』がつづられている。
■著者からのメッセージはダウンロード可能
本企画オリジナル「著者からのメッセージ」は、POPデータとしてダウンロード可能。プリントアウトして利用できる。
<海獣学者、クジラを解剖する。(山と溪谷社)>
クジラやイルカなど海の哺乳類は海から上陸し生活を始めたにも関わらず、どうして再び海に戻っていったのか。本書では動物研究部の田島木綿子氏が、20年間の研究生活をもとに海の哺乳類の生態や身体の構造・機能などを紹介する。
【書籍情報】
タイトル:海獣学者、クジラを解剖する。
著者名:田島 木綿子(たじま・ゆうこ)
出版社:山と溪谷社
【著者プロフィール】
田島 木綿子(たじま・ゆうこ)
国立科学博物館 動物研究部 脊椎動物研究グループ研究主幹。獣医。日本獣医畜産大学獣医学科卒業後、東京大学大学院農学生命科学研究科獣医学専攻にて博士課程修了。大学院での特定研究員を経て2005年、テキサス大学および、カリフォルニアのMarine mammals centerにて病理学を学び、2006年から国立科学博物館動物研究部に所属。博物館業務に携わるかたわら、海の哺乳類のストランディングの実態調査、病理解剖で世界中を飛び回っている。
<昆虫学者の目のツケドロコ(ベレ出版)>
昆虫学者と呼ばれる人の中には、それほど虫好きでなかった人もいる。本書の著者である井手竜也氏もそんな一人。昆虫が苦手な人も虫好きになるきっかけとなる昆虫に出会えたら昆虫の見え方が変わるかも知れない。昆虫の見え方が変わると、近所の公園も違った世界に見えてくる。
【書籍情報】
タイトル:昆虫学者の目のツケドコロ
著者名:井手 竜也(いで・たつや)
出版社:ベレ出版
【著者プロフィール】
井手 竜也(いで・たつや)
国立科学博物館 動物研究部 陸生無脊椎動物研究グループ(研究員)。1986年、長崎市出身。博士(理学、九州大学)。九州大学大学院 比較社会文化研究院 特別研究者、森林総合研究所 特別研究員などを経て、2017年より現職。専門はタマバチ科の生態や分類など。2018年の特別展「昆虫」では監修者のひとりとして活躍。
<アラン・オーストンの標本ラベル(ブックマン社)>
本書は動物研究部の川田伸一郎氏が、これまで調べてきた歴史物語をまとめたもの。モグラを研究する川田氏は、これまでどんな人たちがモグラを研究してきたのか昔のことを知らべるうちに、苦手だった歴史もモグラに関連付けて覚えられるようになった。過去を学ぶ大切さと楽しさが伝わってくる一冊。
【書籍情報】
タイトル:アラン・オーストンの標本ラベル
著者名:川田 伸一郎(かわだ・しんいちろう)
出版社:ブックマン社
【著者プロフィール】
川田 伸一郎(かわだ・しんいちろう)
国立科学博物館 動物研究部 脊椎動物研究グループ研究主幹。弘前大学大学院理学研究科生物学専攻修士課程修了。名古屋大学大学院生命農学研究科入学後、ロシアの科学アカデミーシベリア支部への留学を経て、農学博士号取得。2011年、博物館法施行60周年記念奨励賞受賞。著書に『モグラ博士のモグラの話』(岩波書店)、『モグラ-見えないものへの探求心』(東海大学出版会)、『はじめましてモグラくん-なぞにつつまれた小さなほ乳類』(少年写真新聞社)など。
<標本バカ(ブックマン社)>
派手な展示に代表される博物館活動は、そのバックヤードにある標本コレクションに支えられている。日々、標本のために汗する舞台裏生活では様々な事件が起こっている。本書はそんな動物研究部の川田伸一郎氏の日常をつづったエッセイ集となっている。
【書籍情報】
タイトル:標本バカ
著者名:川田 伸一郎(かわだ・しんいちろう)
出版社:ブックマン社
【著者プロフィール】
川田 伸一郎(かわだ・しんいちろう)
国立科学博物館 動物研究部 脊椎動物研究グループ研究主幹。弘前大学大学院理学研究科生物学専攻修士課程修了。名古屋大学大学院生命農学研究科入学後、ロシアの科学アカデミーシベリア支部への留学を経て、農学博士号取得。2011年、博物館法施行60周年記念奨励賞受賞。著書に『モグラ博士のモグラの話』(岩波書店)、『モグラ-見えないものへの探求心』(東海大学出版会)、『はじめましてモグラくん-なぞにつつまれた小さなほ乳類』(少年写真新聞社)など。
<もがいて、もがいて、古生物学者!!(ブックマン社)>
地球上から姿を消してしまった古生物を探すロマンは、実際のところ泥にまみれ、砂だらけになり、成果は少しだけの繰り返し。しかし、その少しだけの成果を目にすると疲れは吹き飛んでいく。本書は恐竜が好きな子供だった地学研究部の木村由莉氏が、科博研究者になるまでのストーリー。
【書籍情報】
タイトル:もがいて、もがいて、古生物学者!!
著者名:木村 由莉(きむら・ゆり)
出版社:ブックマン社
【著者プロフィール】
木村 由莉(きむら・ゆり)
国立科学博物館 地学研究部 生命進化史研究グループ研究員。早稲田大学教育学部地球科学専修卒業後、米国サザンメソジスト大学地球科学科にて修士課程修了。同大において博士号取得。ユタ大学、ハーバード大学、スミソニアン国立自然史博物館に博士研究員として所属.およそ10年間にわたる留学期間を経て、2015年より現職。専門は陸棲哺乳類化石、特に小さな哺乳類の進化史と古生態。
<深読み!絵本『せいめいのれきし』(岩波書店)>
バージニア・リー・バートンの絵本「せいめいのれきし」にはアメリカ自然史博物館に展示されている化石をもとに、生物の進化や栄枯盛衰が舞台劇のように解説されている。日本語版が1964年に出版されたが、この半世紀以上にわたる学問の進歩について、国立科学博物館の副館長である真鍋真氏が解説している。
【書籍情報】
タイトル:深読み!絵本『せいめいのれきし』
著者名:真鍋 真(まなべ・まこと)
出版社:岩波書店
【著者プロフィール】
真鍋 真(まなべ・まこと)
国立科学博物館 コレクションディレクター(兼)副館長(兼)研究調整役。1959年東京都生まれ。博士(理学)。恐竜など中生代の爬虫類、鳥類化石から、生物の進化を少しでも理解しようと、化石と心の中で対話する日々を送っている。著書に「恐竜の魅せ方」(CCCメディアハウス)、『恐竜博士のめまぐるしくも愉快な日常』(ブックマン社)などがある。