経済産業省は、地域×スポーツクラブ産業研究会を立ち上げ、2020年10月から2021年3月まで計10回にわたり会議を開催。その議論の内容が第1次提言として取りまとめられた。
■ジュニア世代に新たなかたちのスポーツ環境を提供
教員の過剰労働問題や少子化による生徒減で学校部活動の持続可能性が危ぶまれる中、この第1次提言がジュニア世代に新たなかたちのスポーツ環境を提供する第1歩となる。また、「サービス業としての地域スポーツクラブ」の可能性は、より大きな「スポーツ産業」という視座で考える必要性を提言する。
■地域スポーツクラブで生涯を通じてスポーツに取り組む
「サービス業としての地域スポーツクラブ」は学校部活動に代替し、教員の働き方改革に貢献することや、ジュニア世代のみならず生涯を通じた多様なスポーツに取り組む環境を整えることに加え、地域の産業発展にも寄与する可能性がある。
■持続可能なスポーツクラブ産業のあり方について議論
このため経済産業省では、スポーツ庁等関係機関の参画も得て研究会を立ち上げ、これまでも推進されてきた「総合型地域スポーツクラブ」を含め、持続可能なスポーツクラブ産業のあり方について、課題の洗い出しと対策の方向性を議論した。
■検討されるべき5つのポイント
第1次提言では、地域スポーツクラブを軸にした、新しい社会システム像を実現するため、検討されるべき5つのポイントを提示した。
①「学校部活動の地域移行」についての大方針の明確化
②全ての競技で「学校部活動単位」ではなく「世代別(U15/U18等)」の大会参加資格を
③スポーツ指導を学んだ有資格者が、有償で指導するという常識の確立
④民活型の「複合型学校施設」の整備と「総合型放課後サービス」の影響
⑤スポーツ機会保障を支える資金循環の創出
■スポーツ産業という視座で考える
「サービス業としての地域スポーツクラブ」の可能性はトップスポーツの成長戦略と車の両輪として、より大きな「スポーツ産業」という視座で考える必要性を提言する。つまり、トップスポーツの興行の映像やチケットの販売、選手・チームのデータを駆使したゲーム等のエンタテイメント、Sports-Tech(スポーツテック)、フィットネス・ヘルスケア、スポーツ用品の開発・販売などが生み出す「大きなスポーツ資金循環」の中に「サービス業としての地域スポーツクラブ」を位置づけて考える必要があるという問題意識を明確にする。