発達障害当事者の声から生まれた、大栗紙工の「mahora(まほら)ノート」22種が、その年の優れた文具に贈られる「第30回 日本文具大賞」のデザイン部門で優秀賞を受賞した。
■発達障害当事者の声を集めて開発
mahoroノートの特徴は「光の反射を抑えた中紙」「識別しやすい罫線」「シンプルなデザイン」など。発達障害者を支援する(一社)UnBalanceと共に、当事者100人の声を集めて開発し、2020年2月に発売した。
■「あったらいいな」の声に応えて新色・新サイズ22種を発売
今回、「あったらいいな」の声に応えて、2021年2月に追加された「mahoraノート」の新色・新サイズ22種が「第30回 日本文具大賞」のデザイン部門で優秀賞を受賞した。
<mahoraノートの特徴>
①光の反射を抑えた中紙を採用
mahoraの中紙は、白い紙に比べ光の反射を抑えられる、13色の国産色上質紙の中から、発達障害当事者が選び、その中でもまぶしさがもっとも気にならなかった「レモン」「ラベンダー」「ミント」の3色を採用した。今回採用した国産色上質紙は、通常のノートの中紙に比べ約10%程度厚くなっており、強い筆圧でも紙がへこみにくく次のページへの影響が軽減される。さらに紙肌がなめらかで、消しゴムで消す際も綺麗に消すことができる。
②行の識別がしやすい、mahora独自の罫線
発達障害当事者の中には「中紙に印刷された罫線が見分けにくく、書いているうちに行が変わってしまったり歪んでしまったりする」との声があった。それらの悩みを解消させたのが、アンケートやヒアリングによってうまれた、mahora独自の2種類の罫線となる。
③ノートの開きが良く、耐久性も優れた無線とじ製本
ノートの開きが良いのでページの端まで文字が書きやすく、耐久性にも優れているので長期間の使用でもノートがばらける心配がない。
④無駄な要素をなくしたシンプル設計
「中紙に印刷された日付などの余計な情報が気になり集中できない」との声にも応え、中紙の印刷からは日付欄などの罫線以外の情報は全てなくした。そのことにより、横書き・縦書きも気にすることなく使える自由なノートになった。
<審査員コメント>
紙質は今回の応募作では最高でした。ノートとして初めて、紙面を注意欠如・多動症(ADHD)への医療現場で考え抜いた解決提案としての商品性を持っており、色彩と線によりとても明快に「優しい」と「易しい」を実現しました。(デザインディレクター 大阪大学名誉教授 名古屋市立大学名誉教授 審査委員長 川崎和男氏)
<日本文具大賞とは>
その年の「機能面」「デザイン面」それぞれにおいて優れた文具に贈られるアワード。今回の日本文具大賞は、2020年7月17日以降に発表された文具の新製品・リニューアル製品の中から「機能部門」「デザイン部門」を設け各5製品を選定し、グランプリ・優秀賞を決定した。グランプリ・優秀賞受賞製品は、2021年6月30日に東京ビッグサイトにて開催された表彰式で発表・表彰された。