文部科学省は、遠隔教育システムの効果的な活用に関する実証を取りまとめ、教育委員会や学校関係者に参考としてもらうため、「遠隔教育システム活用ガイドブック」(第3版)を作成した。
■遠隔教育の実証研究に取り組んできた成果をまとめた
文科省は遠隔教育システムを効果的に活用した教育の質の向上を目的に「遠隔教育システムの効果的な活用に関する実証」を実施。専門性を育んだり、個々の児童生徒の状況に応じたりする遠隔教育や多様性のある学習環境の遠隔教育、遠隔研修等、テーマを幅広く設定し実証研究に取り組んできた。その実証成果を踏まえ、「遠隔教育システム活用ガイドブック」(第3版)を作成した。
■遠隔教育を12パターンに分類
第1章「遠隔教育とは」では、遠隔教育の分類や接続形態について紹介。遠隔教育の実施に必要なICT環境、ネットワークについてまとめた。遠隔教育の可能性では、多様な意見を出し合う授業や外国語の授業、プログラミングの授業などで遠隔教育が利用できると紹介。遠隔教育の分類では、実施する目的や接続先などを基に、「遠隔交流学習」や「不登校の児童生徒を支援する遠隔教育」など12パターンに分類。
12のパターンに分類
■分類ごとにねらいや目的、実践例などを紹介
第2章「遠隔教育の流れ」では、第1章で示された遠隔教育の分類ごとに、そのねらいや目的、よくみられる学習活動や遠隔教育の実践例について紹介。例えば「遠隔交流学習」では、児童生徒同士が交流を図る「遠隔交流学習」と、両校の児童生徒同士が合同して学習活動を行う「遠隔合同授業」があるとし、実施頻度や主なねらいを紹介。
遠隔交流学習と遠隔合同授業
■家庭学習を支援するオンライン学習の具体的な取組を紹介
第3章「家庭学習を支援する遠隔・オンライン学習」では、学校が臨時休業になった際に、家庭と学校をつないで学習支援を行う取組について概要を整理。また、環境整備や具体的な取組の内容、それに備えるための平常時の対策についても紹介している。具体的な取組では、遠隔・オンライン学習には「学校と児童生徒がつながるもの」を目的としたもの、「学びを止めないこと」を目的としたものの2種類があるとする。
学びを止めないことを目的にしたもの
■遠隔教員研修の概要を整理
第4章「遠隔教員研修」では、遠隔教員研修の概要を整理するとともに、利点や接続形態、研修中に行われる活動、遠隔教員研修の実践例について紹介している。遠隔教育研修の利点では「時間を節約できる」「コストを削減できる」「様々な専門家による指導が受けられる」「密集を回避できる」などが挙げられている。
遠隔教員研修の利点