科学技術振興機構(JST)「科学と社会」推進部は「2050年の社会」を視野に、科学技術や社会課題をテーマにした数々のワークショップを実施。その中から26のワークショップに絞り、そこで語られた発言を元にレポート「課題解決の対話から2050年に向けてつむぐ 『来るだろう未来』から『つくりたい未来』へ」としてまとめた。
■ワークショップで語られた2つの未来像についてまとめた
JST「科学と社会」推進部はワークショップで語られた発言を収集・整理。そこから見えてきた2つの未来についてまとめた。1つはこのまま進めば否応なく訪れる「来るだろう未来」、もう1つがこういう未来を迎えたいという思いをこめた「つくりたい未来」となる。
■2つの未来を「個人」」「社会」「地球」の3つに分類
2つの未来をスケールの違いによって個人、社会、地球の3つに分類。合計6つの「来るだろう未来」と「つくりたい未来」を想定し、それぞれの背景にどのような価値観や社会の仕組みがあるのかを考察した。
■SF作家のイラストと文章で6つの未来像を表現
最終的に、この6つの未来像をイラストと文章で表現。SF作家の刈湯葉氏による小説やイラストの未来像を元にした物語を創作した。
■少子高齢化が進んだ未来とインクルーシブな社会が実現した未来
「来るだろう未来×個人」は少子高齢化が進み、経済格差や学力格差が広がる未来、「つくりたい未来×個人」はAIやロボティクスの技術が進展し、障害者など多様な人々が参画するインクルーシブな社会が実現した未来となる。
■AIへの依存が進む未来と人に寄り添う技術が社会を支える未来
「来るだろう未来×社会」は巨大プラットフォーマーによる中央管理が進み、AIへの過度な依存から抜け出せなくなった未来、「つくりたい未来×社会」は情報システムとリアルな社会生活の両面で自律分散型の社会が築かれ、人に寄り添うシステムや技術が社会生活を支える未来となる。
■環境破壊が進んだ未来と環境保全に対する意識が向上した未来
「来るだろう未来×地球」は食料や資源が不足し、環境破壊が進んだ未来、「つくりたい未来×地球」は科学技術により食料や水の供給が確保され、環境保全に対する意識が向上して大気汚染などの公害が解決された未来となる。