高等学校では、コロナ禍により対面で行う「特別活動の取組」や「進路指導・キャリア教育の取組」は計画通り行かなかったのに対し、「ICTの活用」は計画以上に進んだことが、リクルートが実施した高校教育に関する調査2021「ICT活用」編から明らかになった。
■高等学校の教育改革の進行状況を調査
リクルートは高等学校の教育改革に関する現状を明らかにするため、全国の全日制高校に対して調査を実施。1156校(回収率24.4%)の学校から回答を得た。本調査は「キャリアガイダンス」編集部と「リクルート進学総研」が各年で実施し、今回で第21回目を迎える。
■45%の高等学校が「ICTの活用」が計画以上に進んだ
コロナ禍により、「計画通りいかなかった」と答えた割合は「特別活動の取組」82.0%、「進路指導・キャリア教育の取組」69.0%となり、対面前提で実施してきた取組への影響が大きかった。一方、「計画以上に進んだ」という回答は「ICTの活用」の44.6%で、新型コロナウイルス感染症の影響により高等学校では急速にICT活用が進んでいる。
■教員がICTに目覚め教育の質が上がったという声も
ICT活用については次のようなコメントが見られた。「オンライン授業を始める教員が増え、学校自体のICT化が進んだ。意識ある教員がICTに目覚め、教育の質が上がった気がする」(千葉県・私立)。「ICTを使った授業への対応がこの数年なかなか進まなかったところに、今回の影響で教員、生徒ともに一気に習熟が進んだ」(長野県・私立)
■学校全体でのICT活用は私立が先行
96.7%の高等学校が、授業・ホームルーム・探究などの教育活動にICTを活用している。また、学校全体でICTを活用している高校は51.2%で半数以上。設置者別に見ると、学校全体でのICT活用は私立61.1%、国公立47.8%と私立が先行している。
■過半数が「オンラインによる双方向型授業・学習支援」でICTの活用を望む
今後のICTの活用では「授業での活用」(77.8%)、「宿題・課題等の配信」(68.0%)など授業や宿題での活用意向が強い。具体的に授業では「オンラインによる双方向型授業・学習支援」(55.9%)での活用意向が過半数にのぼる。
■ICT活用を推進するには研修の強化が必用
さらにICT活用を推進していくための取組としては「先生方の研修の強化(校内・校外)」(63.3%)が突出して高くなっている。以下「検討/推進プロジェクトの立ち上げ・任命」(33.0%)、「推進計画の立案と教員間での共有」(31.0%)、「デジタル教科書・教材の活用」(27.8%)が30%前後で続く。
■ICTを活用することで6割以上が学習へのモチベーションの向上を望む
ICT活用で狙いたい効果としては「生徒の興味を喚起し、学習へのモチベーションを上げる」 が64.2%でトップ。学校全体で組織的にICTを活用している学校では「オンラインを活用し、効果的なアクティブ・ラーニングや協働学習を実施」(50.7%)のスコアが全体より5ポイント以上高くなっている。
<調査概要>
調査期間:2021年2月1日(月)~3月5日(金)
調査方法:郵送調査+インターネット調査
調査対象:全国の全日制高等学校4738校
集計対象数:1156件(回収率24.4%)