環境省と文部科学省は、学校設置者等が作成する熱中症対策に係る学校向けのガイドラインの作成・改訂に資するよう、初めて「学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引き」を共同で作成し、Webで公開を開始した。
■基礎編と実践編から構成
「学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引き」は基礎編と実践編から構成されている。各学校においては、実践編(第5章、第6章)を中心に参考とするよう求めている。
■学校の管理下における熱中症
学校の管理下における熱中症は、毎年5000件程度発生している。死亡事故は年間0~2名程度と減少傾向にある。学校での熱中症による死亡事故は、ほとんどが体育・スポーツ活動によるものとなる。体育やスポーツ活動によって発生する熱中症は、それほど高くない気温(25~30℃)でも湿度が高い場合には発生することが特徴的となる。
■活動場所ごと活動時間ごとに暑さ指数(WBGT)を測定する
基礎編では「暑さ指数(WBGT)」や「熱中症警戒アラート」とは何かを紹介している。暑さ指数(WBGT)は、①湿度、 ②日射・輻射など周辺の熱環境、③気温の3つを取り入れた指標で、活動場所ごと活動時間ごとに測定することが大切。
■熱中症警戒アラートを行事開催の参考に
熱中症警戒アラートは気象庁の防災情報提供システムを通じて地方公共団体や報道機関等に対して発表される。翌日に予定されている行事の開催可否の参考となる。保護者から「熱中症警戒アラートが出ているのに屋外で体育の授業を行っている」などの意見が寄せられる場合があり、それらへの対応が求められる。
■熱中症予防の体制整備のフローを紹介
実践編では「熱中症の予防措置」や「熱中症発生時の対応」を紹介。熱中症の予防は、暑さ指数(WBGT)を基準とする対策・体制を事前に整えることが基本となる。また、暑さ指数(WBGT)に基づく運動等の指針を中心とした熱中症予防の体制整備のポイントをフローチャートでまとめている。
■緊急事態に備えて学校の体制を確立する
熱中症発生時の対応では、熱中症は放置すれば死に至る緊急事態であることを認識する必要がある。緊急事態に迅速かつ的確に応急処置を講じるため、次の①~④について学校の体制を確立する必要がある。
① 熱中症発生時の教職員の役割分担を定め、全員が理解しておくとともに、職員室、
保健室及び事務室等の見やすい場所に掲示する。
② 緊急時に連絡する消防署、医療機関、校内(管理職・養護教諭・学年主任等)及び
関係諸機関等の所在地及び電話番号などを掲示する。
③ 救命処置(心肺蘇生とAEDの使用)や応急手当等に関する講習を行うなど、実際の対応
ができるようにしておく。
④ 救急搬送の必要な傷病者が出た場合に備え、各種行事前に現地消防組織、近隣医療機関
と連携しておく。