福島市立学校（小学校29校、中学校19校）はGIGAスクール構想の加速に向けネットワークをSD-WAN環境で構築。2021年4月から稼働している。
■SD-WAN環境で効果的な授業体験を実現
今回整備されたSD-WAN環境では、各校からインターネットに直接かつ安全に接続する「ローカルブレイクアウトによるダイレクトインターネットアクセス環境」を実現。これにより、インターネットへの通信速度を向上させ、教育用デジタルコンテンツの体感速度の向上を通じて効果的な授業体験を実現する。
■通信量増加による帯域の逼迫が課題に
福島市立学校では4月からインターネットを活用した新しい授業形式「福島型オンライン授業」を開始。一方で従来、各校からインターネットに接続する際は、セキュリティ強化のためにWAN及びデータセンターを経由しており、新しい授業による通信量の増加により帯域の逼迫が課題となっていた。
■授業で活用するWebサイトの通信は新たに用意したインターネット回線から直接接続
本環境は、「Cisco SD-WANソリューション」により構成。授業で発生するインターネット通信を統制することで、逼迫の解消・体感速度の向上を実現する。授業で多く活用するWebサイトの通信は、ローカルブレイクアウト機能により、WAN及びデータセンターを経由することなく、新たに用意したインターネット回線から直接接続するダイレクトインターネットアクセス環境を実現する。
■特定のインターネット向け通信は固定IPアドレスによりネットに接続
データセンターを経由する必要があるWebサイトは、従来同様にWAN経由でデータセンターへ接続し、堅牢なファイアウォールを介して固定IPアドレスによってインターネットに接続することで安全性および身元を担保する。
■ファイアウォール機能を有したSD-WANルータ
各校に設置したSD-WANルータはファイアウォール機能も有し、各校に専用のファイアウォール製品を用意することなくセキュリティ対策を実装できる。また、各校に設置したSD-WANルータは、専用の管理クラウドから一元管理可能。アプリケーションの帯域制御やセキュリティ設定の変更などを現地に赴くことなく適用し、運用負荷を軽減させる。
■児童生徒数の多い学校でSD-WANによるローカルブレイクアウトを適用
今回のSD-WAN環境の整備では、コスト最適化の観点から、福島市立学校全68校の中で児童生徒数が多い48校ではSD-WANによるローカルブレイクアウトを適用。それ以外の20校は帯域に余裕が生じたWAN及びデータセンター経由でインターネットを利用する。
＜福島市教育委員会 学校教育課長 鴫原理氏 コメント＞
「既存のネットワークは、全ての通信がデータセンターを経由することから、データセンターがボトルネックになるのではないかと危惧していた。また、データセンターの機器を増強しても今後ICT機器の通信量が増加した場合、追加の整備が必要になるなど追加コストも大きな課題となっていた。その解決策として、ネットワンシステムズから提案のあったSD-WANによるローカルブレイクアウトを採用した。今後のICT機器の利活用に柔軟に対応出来る本ネットワークシステムは、今後の福島市の教育ICTの安定した基盤となることと期待している」
