大阪府PTA協議会とNTT西日本はICTを活用した「リモートPTA」の実証事業を2021年4月から実施。PTA専用のチャットサービス「elgana(エルガナ)」やWeb会議を活用して、コロナ禍によりコミュニケーションを図ることが難しい中、PTA間の資料共有や会員間の連絡、会議などをICTを活用することで進める。今後、大阪府PTA協議会を通じて各市町村PTAや学校PTAなど約1200組織に「リモートPTA」を周知して広げていく。
■PTA活動が抱える様々な課題
PTAは共働きの家庭も多いことから、活動するにあたりスケジュールの調整が難しくなっている。さらに、個人のメールアドレスを知られたくないので、PTA活動とは切り分けて使いたいという人もいる。また、PTAの連絡手段は紙などのアナログが中心であり、印刷や仕分けなどの準備に時間がかかるという問題もある。
■コロナ禍により生まれる新たな課題
それに加えてコロナ禍においては、総会や会議など人が集まっての活動ができず、PTAの活動が制限されるので、PTA間でのコミュニケーションがとりにくい現状にある。また、PTAが中心となって活動していたイベントが中止になり、それに代わるものを考えることがPTAの課題になっている。
■チャットやWeb会議で場所や時間の制約を受けない「リモートPTA」
こうした現状を受け、大阪府PTA協議会とNTT西日本は、チャットやWeb会議を活用し、場所や時間の制約を受けない「リモートPTA」を推進する。「リモートPTA」はPTA活動専用のチャット上で資料を共有し、アンケートの送付から回答集計まで実施。会員間のコミュニケーションは同チャットやWeb会議で図り、活動を推進する。また、Web会議を活用し、メンバーは自宅などから会議に参加する。
■大阪府内の市町村PTAや学校PTAに「リモートPTA」を推進
今後、大阪府PTA協議会が府内の各市町村PTAや学校PTAなど約1200組織に「リモートPTA」を周知して活動を広げていく。希望するPTAにはNTT西日本が実行に向けた支援を行う。こうして「リモートPTA」を活用する中で、生まれた知見を開発などのフィードバックしていく。
■4つのステップを提案
「リモートPTA」の推進にあったては4つのステップを提案する。ステップ1ではチャットを活用し、従来は紙で配布していた資料をPCから一斉に送付する。ステップ2では会員同士の細かい相談や日程調整など、チャットを使ってコミュニケーションを図る。ステップ3ではWeb会議ツールをリモートで会議を実施。ステップ4では出来上がった資料などをストレージに保存する。これにより次年度への資料の引き継ぎもスムーズに行える。
■PTA専用のチャットサービスで資料共有
ステップ1の資料共有については、従来は書類を印刷・製本し、郵送するなど、かなりの手間がかかっていた。PTA専用のチャットサービスを活用することで、一回の送信でグループ全員に資料を送ることができるようになる。また、メンバーの未読/既読状況を確認できるサービスもあり、未読のメンバーには個別連絡などの対応が可能となっている。
■PTA間の連絡ツールをチャットで統一
ステップ2のコミュニケーション&日程調整では、これまではメンバーにより電話やメール、チャットなど異なっていた連絡手段が、PTA活動専用の連絡ツールを使うことで連絡手段を統一できる。メンバーはPCやスマートフォンなど、各自の好きな手段で連絡ツールを使うことができる。
■PTA専用のチャットサービス「elgana」を無償で提供
こうした「リモートPTA」のステップ1とステップ2を支えるのが、NTTのチャットサービス「elgana(エルガナ)」となる。「elgana」の特徴は以下の6点。①PTA専用アプリとすることで会員のみを登録、②ユーザー数無制限で無料のため学校での利用に適している、③既読確認が可能で誰がいつ見たかも分かり、未読者だけにリマインドすることで効率化が図れる、④高いセキュリティでデータを保持、添付ファイルは7日間で自動的に削除される、⑤PCからでも利用可能、⑥片方向一斉配信機能で管理者への返信を負荷とすることで負担が軽減される。
■PTA関係者のみチャットで連絡を取ることが可能
プライベートチャットツールと「elgana」の違いは「PTA専用のツール」であること。プライベートチャットツールは、友達申請すると誰でもグループに参加できるので、関係ない人が情報にアクセスする可能性がある。「elgana」は管理者が登録した人しかアプリを利用できないので、PTA関係者とだけ連絡を取ることができる。
■PTAに関する情報のもelganaで共有
また、「専用アプリのため、プライベートと区別することができる」。プライベートチャットツールはニックネームで利用している人もいて、誰か分からない場合がある。また、タイムライン(日記)を利用している場合、個人の情報が共有される恐れがある。「elgana」ならばPTA以外の情報は共有されないので安心して利用できる。
■NTT西日本が検討から実行までのサポートを実施
「リモートPTA」の導入にあたって、NTT西日本は検討から実行までのサポートを実施。どのように進めていけば分からないというケースに対して、リーフレットやWeb、ウェビナーなどを通じて解決策を提案。その上で実際に「リモートPTA」を導入したいというPTAに対して、チャットツールやWeb会議の導入を進めていく。
<リモートPTA実証事業 概要>
実施時期:2021年4月~2021年9月下旬(予定)
実施対象:大阪府内の市町村PTA協議会、学校PTA(単位PTA)(約1200団体)
実施内容:ICTツールを活用したリモートでの効率的なPTA活動の方法の検討及び実施を
サポートすることで「リモートPTA」モデルの確立、普及をめざす。
実施条件:新型コロナウイルス感染拡大防止の観点で、WEB会議等を積極的に活用した
リモートでのサポート、コンサルティングを実施。
<大阪府PTA協議会 会長 名村研二郎氏 コメント>
昨年、コロナ禍の拡大により学校教育活動が停止し、PTA活動も停止を余儀なくされました。 私たちの多くは、会わずして進めるPTA活動の経験や方法を持ち合わせておらず、混乱や苦労をした実情がありました。「リモートPTA」はその課題を解決するとともに、有効活用することにより時間的負担を軽減でき、コロナ禍でも活動を完全に止めることなく継続することが可能となります。子どもたちがICTを利用し、個別最適化した誰ひとり取り残さない「未来の教室」へ向かっているように、私たち保護者も誰もが参加しやすい持続可能でハイブリッドな「未来のPTA」を実現できればと思っています。
<NTT西日本 取締役ビジネスデザイン部長 白波瀬章氏 コメント>
保護者の方の協力に支えられているPTA活動においては、「ICTを活用して新しいPTAの在り方にチャレンジしたい」という多くの声を頂いており、実際にいくつかPTAの皆様とは実証を重ねてきました。そうしたノウハウを活かして、今後は大阪府PTA協議会様とタッグを組んでPTAの皆様の要望に応えていき、教育分野の様々な社会課題の解決に取り組んでいきたいと思います。