文部科学省は、先ごろ地震や台風などの自然災害により、学校給食の実施が困難となる事態が発生したことを受け、各自治体に対し、災害時における学校給食実施体制の調査を実施。その先行事例を2021年3月に事例集としてまとめた。
■災害にたいして備えている自治体は約3割
調査結果によると、災害などの不測の事態に備えて、学校給食施設の防災対策や学校給食再開までのバックアップ体制構築など、学校給食実施体制の整備をしている自治体の割合は33.4%。66.3%の自治体は災害など不測の事態に向けて対応していないことが分かった。
■半数が「非常食の備蓄」が役に立ったと回答
構築していた体制で特に役に立ったもので、最も多かった回答は「非常食の備蓄」の42.4%。次いで「給食施設の耐震化」の40.9%、「民間企業への協力要請・協定締結」の15.2%となっている。
■「ガイドライン・マニュアル」は半数が用意しておけば良かったと回答
被災した自治体が、事前にしておくと良かったと思う取組は「ガイドライン・マニュアルの策定」が42.2%。次いで「備蓄品・消耗品(ラップなど)の確保」が39.3%、「施設設備の整備」が23.6%となっている。
■11自治体の事例を紹介
自治体の取組事例では、鳥取県日南町、熊本県益城町、宮城県、愛媛県今治市、奈良県生駒市、福井県福井市、岡山県倉敷市、福島県只見町、岡山県笠岡市、千葉県袖ケ浦市、高知県高知市のケースを紹介している。
■近隣自治体と協力したケースや民間企業と協力したケースなどを紹介
鳥取県日南町は近隣3町と県で災害発生時の小中学校給食の相互支援協定を実施した事例、愛媛県今治市では各調理場の最大調理可能食数把握による効率的な相互応援体制を整備したケース、奈良県生駒市では民間企業と協力して食材を供給したケースを紹介。
■災害時にマニュアルを活用したケースも紹介
マニュアル作成については、東日本大震災の経験をもとに学校再開ハンドブックを作成した宮城県の事例や、BCP業務実施マニュアルと災害時炊き出しマニュアルを整備した福井県福井市の事例を紹介している。