経団連(中西宏明会長)は3月16日(火)、提言「Society5.0時代の学びⅡ~EdTechを通じた自律的な学びへ」を公表した。経団連は数次にわたる提言を行ってきたが、これまでの提言をさらに掘り下げ、Society5.0時代の学びの姿と、その実現に向けたロードマップを示した。
■4つのキーワードを通して自律的な学びへ
Society5.0時代の新たな学びのキーワードは以下の4つ
①パーソナライズ:個々人の興味や習熟度に応じて最適化された学び
②シームレス:いつでもどこでもどの環境でもつながれる学び
③ダイバーシティ:多様な価値観が交わり多様な選択肢から選べる学び
④クリエイティブ:好奇心くすぐる観察と探究により価値を協創する学び
この4つを通して、自ら関心を広げ自発的に学び、多様な方向へ成長し続ける自律的な学びへつなげていく。
■EdTechが持つ学びのための機能を「習得」「共有」「探索」「創造」「支援」に分類
EdTech が持つ学びのための機能は次のように5つに分類できる。
①習得:基本的な知識や技能を習得する効率を高め、苦手分野の克服や潜在的な興味のある分野・得意分野への気づきも促す。
②共有:離れた場所からでも対話・協働・データ共有を可能にし、他者の意見やアイデアに触れやすくする。
③探索:今まで容易に発見できなかったものを観察・収集可能にする。
④創造:頭の中のアイデアや物のイメージ、設計図から創作物をデジタル・リアル空間に創り出す。
⑤支援:教員の業務負担の削減・効率化や、今まで把握できなかった学習者の学習プロセスの可視化を可能にする。
■EdTech活用により想像力・創造力などを向上させる
EdTechを活用することで従来の学習法の限界を打ち破り、自律的な学びの環境を形成する。その環境下で想像力・創造力につながる能力や資質が向上し、Society 5.0で活躍する人材が育っていく。
〇AIドリルを活用した問題演習で数学的思考力を向上させる
〇海外の学校とのオンライン授業 により協働力・問題発見能力を向上させる
〇探究型学習での実験・分析によりプログラミング的思考力・技術活用力・問題解決能力を向上させる
■学びのDXのロードマップを示した
学びのDXのロードマップを作成し、制度・人材・データ活用・ハードとソフト・EdTech実践と普及の方向性を示した。なお、学びのDXの進捗状況には地域ごとや学校ごとにばらつきがあり、一足飛びに最終形を目指しても実現が難しいため必要な取組を段階的に示した。
■「学習データの連携・活用」と「学習インフラ」について提言
EdTech 推進に向けた環境整備では、Society 5.0 時代の自律的な学びを実現するために、教員ほか関係主体の役割の発揮に向けて、解決すべき課題が山積していることから「学習データの連携・活用」と「学習インフラ」について提言している。
■EdTechを通じた自律的な学びを実現
今後 、産業界は、Society 5.0において求められる能力を周知するとともに、多様な個性やスキル・能力を持つ人材の活躍を促していく。そのためにも、EdTechを通じた自律的な学びを実現すべく、教育現場と同じ目線に立って、社会や企業の学びの環境を早急に整備する。