大阪府堺市教育委員会は、市立学校・園における「新・堺スタイル」の実践ならびに、学校園業務の効率化に向けて、日本マイクロソフトと3月16日(火)に連携協定を締結した。日本マイクロソフトが、GIGAスクール構想で導入された端末の活用に関して、自治体・教育委員会と連携するのは今回が初となる。
■新・堺スタイルの実践と学校園業務の効率化でICTを活用
堺市教育委員会と日本マイクロソフトは、①「新・堺スタイル」の実践、②学校園業務の効率化に向けて、ICT活用を図っていく。これまで全教員がタブレットを活用してきた「堺スタイル」に加え、児童生徒が1人1台の端末を使いこなし、効果的な学びを実現するのが「新・堺スタイル」となる。
<新・堺スタイルでのICTの実践>
①通常授業でのICT活用の定着
通常授業では1人1台の端末を活用しながら、以下のような場面でICTを活用する。児童生徒が自ら撮影・録画する、考え方や資料をデータで共有する、自分の考えを様々な方法で整理する、他の児童生徒の考え方を把握・集約する。
②誰一人取り残さないICTによるアクセシビリティ支援
海外から日本に来た児童生徒や障害がある児童生徒への活用、不登校など長期欠席している児童生徒への活用を目指す。
③英語教育でのICTの活用
堺市ではネイティブスピーカーの配置のほか、モデル的にオンライン英会話による英語教育を実施している。新たに翻訳機能や録音機能を活用して英語教育の実施を検討する。
④「学年別ICT活用能力の水準指標」に応じたICT活用支援
子供たち1人1人のICT活用能力に関して、どの学年において、どのような技能が求められるが正しく理解し、系統的な指導を行っていく。子供たちのICT活用能力を測る水準指標を作成するための研究を進める。
<学校園業務の効率化に向けたICT活用の実践>
教員の働き方改革に向けて、次のような場面でICTを図っていく。
①保護者と学校園とのやり取りでICT活用
児童生徒の遅刻・欠席連絡は、主に電話連絡で行われるが、ICT化を図ることで、学校のみならず保護者の利便性の向上に努める。
②教科別研修等でのICT活用
教員は各教科で研究する組織に所属し、それぞれの組織で研究授業や研修を実施している。その研修などをオンライン化することで、効率性や利便性の向上が図られる。
③学校内情報共有でのICT活用。
それぞれの教員はクラス担任や部活動など個々の動きが多く、一斉に集まることも限定的となる。そのためリアルタイムの情報を共有できるツールを活用することで、共通認識を持つことができる。
<具体的なICT活用>
■帰国・外国人児童生徒にMicrosoft365などの翻訳サービスを活用
「新・堺スタイル」②にあるように、誰一人として取り残さない対応として、帰国・外国人児童生徒に向けて、Windows端末やMicrosoft365 Educationなどの多言語翻訳サービスを活用する。表示言語を変更するだけでなく、同時通訳のように発話した内容を、相手の母国語に変換して表示する。
■「学年別ICT活用能力の水準指標」を作成し、各学年の目標を設定
「新・堺スタイル」④にあるように「学年別ICT活用能力の水準指標」を作成する。各学年のICTの到達目標を設定し、それを目標に学習を進める。日本マイクロソフトでは、Office365 Educationを中心としたICT活用に関する情報や研修を提供する。
■保護者からの遅刻・欠席情報をデジタル化
学校園業務の効率化に向けたICT活用の実践①であるように、保護者と学校とのやり取りでICTを活用する。すでにパイロット校での実証が進められており、遅刻・欠席の連絡などをデジタル化する。保護者が子供の欠席など、伝えたい情報を連絡フォームに入力すると、Power Automateが自動的に処理を行い、伝えたい教職員チームのチャネルに情報が投稿される。それと同時に保護者からの情報がExcelにも追記され、遅刻・欠席情報として自動的に保存される。
<堺市教育委員会 中谷省三教育長>
堺市ではGIGAスクール構想の実現に向け、2020年12月に全市立小中学校の児童生徒に1人1台のタブレットが整備されました。そして2021年4月からは1人1台端末を活用した「新・堺スタイル」の授業が本格的に始まります。今後、Society5.0時代を迎え、社会や生活が大きく変わる超スマート社会を迎えることになります。子供たちが未来を切り拓くことができるよう、ICTを活用し、主体的・対話的で深い学びの実現に向け、効果的な授業改善に取り組んでいきたいと思います。
<日本マイクロソフト 執行役員 常務 パブリックセンター事業本部長 佐藤亮太氏>
子供たちの学び方や教員の教え方など、教育そのものが大きな転換期を迎えていると考えます。マイクロソフトのテクノロジーで「新・堺スタイル」の実践と学校園の効率化に向けたICT活用の実践を進めることになりました。弊社から提供するテクノロジーとノウハウを活かし、堺市における児童生徒の可能性を最大化して、未来を担う子供たちの育成の手伝いをしていきたいと思います。