スプリックス基礎学力研究所は世界11か国22,000人の子供・保護者を対象に、世帯年収を切り口に子供の夢や基礎学力に関する調査を実施した。その結果、日本の子供は世帯年収が低いほど、将来なりたい職業はないとの回答が多くなっていることが分かった。
■日本の子供の3割が「将来なりたい職業はない」
「将来なりたい職業はない」と答えた日本の子供は 30.6%と世界と比べて高い水準にある。さらに世帯年収別に分析すると、世帯年収が平均より高い対象は 24.7%、平均以下の対象は 31.1%という結果となる。6.4ポイントの大きな差があり、「日本は最も夢格差が大きい国」となっている。
■実際の体験が将来の夢につながる傾向も
世帯年収が平均より高い対象の声として「スポーツ観戦や洋服を買うなどの実体験を通して夢を持った」「親戚の医者や研究者の話を直接聞いて憧れを持った」という点に特徴が見られた。一方、平均以下の対象の声では「スマホで Youtuber や芸能人を見て憧れを持った」と答えており、両者には「経験から見る夢」と「スマホで見る夢」という点に違いが見られた。
■基礎学力の差が将来の夢にも影響
今回の基礎学力調査では、世帯年収が平均より高い対象の正答率は64.8%、平均以下の対象の正答率は 56.4%という結果で差が見られた。さらに、保護者の基礎学力に対する意識や行動、基礎学力の満足度にも差が見られた。基礎学力の差が、自己肯定感や自信の差にもつながり、結果的に「将来なりたい職業がない」という状態につながっていることが推察される。
【調査概要】
調査地域:日本・アメリカ・中国・インド・イギリス・フランス・ポーランド・タイ・インドネシア・マレーシア・ミャンマー
調査対象:
子供 6 歳~15 歳 (各国 1,000 名・11か国の 11,000 名)
保護者 子供の保護者(各国 1,000 名・11か国の 11,000 名)
調査手法:インターネット調査
調査内容:
「意識調査」子供、保護者を対象に実施した学習に関するアンケート
「学力調査」子供を対象に実施した 50 問の計算に関する基礎的なテスト
実施期間:2020年8月~9月