文部科学省初等中等局は「感染症や災害等の非常時にやむを得ず学校に登校できない児童生徒に対する学習指導について」の通知を、都道府県や指定都市の教育長、都道府県知事などに向けて2月19日(金)に発出した。
■感染症や自然災害で登校できない児童生徒の学びを保障
2021年1月26日に中央教育審議会において「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~(答申)」が取りまとめられた。同答申では、感染症や自然災害等により、児童生徒等がやむを得ず登校できない場合においても、学びの保障を着実に実施するため、制度的な措置等について検討・整理することが必要と示されている。
■登校できない児童生徒の学習指導について通知
そこで、小学校、中学校、全日制・定時制課程の高等学校、特別支援学校において、非常時に臨時休業又は出席停止等により、やむを得ず学校に登校できない児童生徒に対する学習指導について、とりまとめたものを通知した。なお、2020年4月10日に出された「新型コロナウイルス感染症対策のための臨時休業等に伴い学校に登校できない児童生徒の学習指導について」は、この通知を持って廃止し、今後は本通知によるものとする。
■平常時から準備を進めることが大事
通知では平常時から非常時を想定した備えをしておくことが重要であるとし、平常時から積極的なICT環境の整備とその活用を推進することを勧めている。例えば、端末や通信環境が整っていない場合、学校に整備された端末やルータ等の貸出し・持ち帰りを積極的に行えるようにしておくことや、自宅でもICTを活用して学習を継続できるよう環境を積極的に整えることが重要となる。
■非常時の学習指導は教科書に加えICT環境を活用した指導が重要
感染症や災害の発生等の非常時においても、まずは学校において可能な限り感染リスクを低減させ、早期に教育活動を再開させ、児童生徒が登校して学習できるようにすることが重要。学習指導を行う際には、教科書に基づいて指導するとともに、教科書と併用できる教材等(例えばデジタルまたはアナログの教材、オンデマンド動画、テレビ放送等)を組み合わせたり、ICT環境を活用して指導することが求められる。
■オンラインを活用した学習の指導要録上の取扱い
非常時にやむを得ず学校に登校できない児童生徒については、登校できなかった日数を「欠席日数」として記録しないこととされているため留意する。その上で、オンラインを活用した学習の指導を実施したと校長が認める場合には、指導要録の「指導に関する記録」の別記として、非常時にオンラインを活用して実施した特例の授業等の記録について学年ごとに作成する。なお、オンラインを活用した特例の授業は、非常時のやむを得ない場合の対応であり、登校再開後の学校での学習への円滑な接続が重要だとする。
■登校再開後は補充の授業や補習で措置を講じる
児童生徒が登校可能となった時点で、対面により学習状況を把握。必要に応じて教育課程内での補充のための授業や教育課程に位置付けない補習等の措置を講じるよう求めている。その際、児童生徒や教職員の負担にも配慮するよう注意を促している。なお、教育課程の授業時数を下回った場合、それだけで学校教育法施行規則に反することにはならないとする。