大学発のWebマガジンが興味深い。ひと昔前の高等学校や大学の「新聞部」とは異なったスタンスで自由な情報が発信されている。発信媒体の形式が異なると、扱う情報も文体も変わる。東京大学、武蔵大学のウェブマガジンと、大学の異なる学生が集まって作っているウェブマガジンを紹介。
編集部はウェブマガジンの紹介文に「私たちは、偏った「東大らしさ」の中に埋もれてしまった、東京大学の内なる輝きを知っています」と書く。編集方針は、ひとつの「らしさ」では括りきれない東大の姿を伝えること。
「東大生格付けチェック。東大生なら文豪の文章と一般人の文章を見分けられるのか……!」は、5人の東大生の挑戦をレポートしたものだ。夏目漱石の文章と一般人(東大生)の文章を読み、どちらが文豪かを選択する。5人のうち、間違ったのは1人だけ。読み手も、問題に参加できて面白い。
「医進の裏側を3人の医進東大生に聞いてみた~情報戦の勝ち抜き方とは?」「【受験生必見】東大生が考えた共通テスト攻略&2次試験対策法!!」「東大・京大・阪大、最強のLME 決めます(てかLMSって何よ?」」など、タイトル付けもダイレクトで上手い。フォントの選び方も素敵だ。。。。読んでみたくなる。
媒体名「きじキジ」とは、武蔵大学のロゴのモチーフで、同大のルーツである旧制武蔵高等学校時代からのシンボルである「きじ(雉)」と、「記事」をかけて名付けられたものだ。
大学広報活動の一環という側面もあり、編集部員のスキルアップのため、大学職員が定期的にワークショップを開催するなど、大学側も活動をバックアップしている。
記事の1つ「ムサシのゼミのVRプロジェクト『ぶみゅー』ってなんだ!?」は、実際にバーチャルミュージアムを立ち上げているゼミ生にインタビュー。
「きじキジ流!プレゼンの極意」は、1年生からゼミ発表の機会が多い武蔵大ならではの内容。プレゼンの際に気を付けていること、対面とオンラインの違い、緊張したときにすることなどを複数の学生に聞いている。
東大、早慶、お茶の水女子大など、多彩な大学の学生によって運営。
キャッチフレーズは「学生主役のモラトリアムWEBマガジン」。
社会に出る前、「自分は何がしたいのか」をじっくり見つめるために与えられた期間ならではの面白い話を集めて発信しようというのが、ウェブマガジン誕生の背景だ。
【現代のご近所付き合いを作る】vegecommu~祖父母への思いから始まったコミュニティ創生プロジェクト~」は、コロナ禍でオンラインの占める割合がどんどん大きくなり、高齢者は孤立していくのでは」と考え、野菜の販売を通して、農産物の生産者と消費者とを繋げるプロジェクト「vegecommu」を立ち上げた学生にインタビュー。「プロジェクトを通して何よりも自分の繋がりが変わった」と語る。「仮説ばかり考えていた時期があった。その反省から仮説検証を早いスピードで回していきたい」というふり返りの言葉が素晴らしい。
「大学生向け社会貢献シリーズ」の1つ「海洋ゴミ問題からSDGsについて考えるOGZ・NAMIMATIさんの清掃イベントに参加してみた」のレポートで記者は「単発のイベントに参加するだけで社会に貢献したり自分の価値観をアップデートしたりすることができることを再確認した」と感想を述べている。
「Gaku-kom」