アメリカに本部を持つ、教育のためのグローバル・パートナーシップである「Global Partnership for Education（GPE）」は、1月24日の「国際教育の日」にあわせて、質の高い教育の提供を継続するには「教員の質の向上」と「強靭な教育システムの構築」が重要というメッセージを発信した。
＜GPEとは＞
教育のためのグローバルパートナーシップ「Global Partnership for Education（略称：GPE）」は、2002 年に世界銀行が主導して設立された教育問題に特化した国際基金。すべての人に公平で質の高い教育を提供することを目的に掲げ、途上国、ドナー国、民間企業、財団、多国間銀行、国連機関や NGOなどの多くのパートナーシップに基づいて運営されている。世界中から教育のための資金を調達し、教育システムの改善・強化などを通じて、途上国が直面する教育の最重要課題を解決すべく支援を行っている。
■質の高い教育を提供する上で十分な資金調達を目指す
メッセージはGPEのセリネ・ムバエ・ティアム副議長により発信された。GPEは世界中の教育システムが強化されるよう、様々な課題を支援国と共に取り組んでいく。それに向けて、2021年7月のG7と同時期に開催される教育のための増資会議で、教育の重要性を訴え、世界中の子供たちに質の高い教育を提供する上で十分な資金調達を目指す。
セリネ・ムバエ・ティアム副議長
■「強靭な教育システム構築」のために50億米ドル以上の資金調達が必要
新型コロナウイルスが拡がり始めてすぐに、GPEは行動を起こした。5億米ドルを超える緊急資金を調達して、教育機関の閉鎖による被害を軽減し、66か国で教育システム再開をサポートした。しかし、現在も多くの課題が未解決のままとなっている。GPEは、世界で最も貧しい国々の教育制度を支援するため、2025年までにドナー国・民間企業・財団等が協力して、50億米ドル以上の資金を拠出することが必要だと訴える。
■16億人以上の生徒が就学に影響を受けた
世界中が新型コロナウイルスの脅威に直面し、就学に影響を受けた生徒の数は16億人以上と推定される。低所得の国々では、約2400万人の生徒たちが学校に戻ることができずにいる。その中でも特に厳しい状況にあるのは女子とされる。
■世界中で約半数の生徒が困難な状況に直面
コロナ禍で教員や生徒、その家族は、オンライン教育に適応する必要に迫られた。しかし、低所得の国々では課題が山積みで、新しい学習方法に必要な機材やインターネット環境も、ほとんどの家庭にない。世界中の生徒の約半数にあたる8億2600万人の子供や就学児童が、学校閉鎖期間中に技術的な困難に直面したと推定される。
■様々な工夫で授業を進める教員たち
教員たちは創意工夫しながら、生徒が教育を受け続けられるように献身的に努力している。ガボン、セネガル、ブルキナファソのように遠隔教育のプラットフォームを立ち上げた国、マリ、カメルーン、コートジボワールのようにラジオやテレビで授業内容を流した国、マダガスカルやモロッコなどの国々では、学習用教材を印刷して生徒に配布した。
■努力する教員を支えるために活動を展開
オンライン指導用の内容を急遽準備し、SNSでサポートグループをつくり、生徒とのつながりの維持に努めた教員や、子供たちが、学習を続けられるように家族をバックアップし、生徒の中でも特に女の子が除外されないように親に注意を促した教員もいる。こうした教員たちの取組と勇気を讃え、GPEは今後も世界の教育問題に関する最新情報を定期的に配信していく。
GPE公式ホームページ(※日本語ページ準備中)
