福岡工業大学の石田研究室は、小型のPC端末「BLEビーコン」を用いて避難所に出入りする人の数や性別などの情報をタッチレスで送受信し、集計するシステムを開発。それらのデータと過去の災害対応データを組み合わせ、AIがその自治体や避難所にとって最適な物資や人員の配分を自動的に判断するシステムを開発した。
■効率的な避難所の運営が求められる
東日本大震災の発生時、自治体やボランティアの人的資源も限られる中で避難所の運営は困難を迫られた。今後、災害発生時には避難所の収容人数の大幅な見直しと分散避難が求められる。そうした課題に対して、福岡工業大学情報通信工学科の石田研究室は効率的な被災者の情報把握や避難所の運営をする研究を進めている。
■ビーコンが自動的に避難所への出入りを記録
石田研究室が開発したシステムは、避難者は平常時にアプリに自分の情報を登録。被災時に避難所へ行き、BLEビーコンの半径10m以内に立ち入ると、ビーコンが自動的に被災者とメッセージのやり取りを行い、出入りを記録。「今その避難所にいる人数」をリアルタイムで集計できる。
■避難所の情報は自治体の管理画面に集約
自治体が避難所の支援を行う上で最も重要なのは、避難所にどのような人が何人いるかという情報。ビーコンに登録された情報は、自治体の管理画面に集約され、物資の配分などを判断する材料になる。避難所を退出する場合、次の行き先を登録すれば、その後の支援の漏れも無くすことができる。
■過去の災害から適切な物資や人員の配置をAIが提案
同システムはこれまでに自治体が過去の災害時にどのような対応をしてきたかをAIが分析。過去の同規模の災害時を振り返って、どのようなリソース配分を行うことが必要か、その時点で最適と考えられる提案がされる。迅速かつ過不足のない物資や人員の配置を行うことで、災害支援を速やかに行うことにつながる。