静岡聖光学院中学校・高等学校は「学校の掲げる教育理念や目標」と「生徒の特徴」の相関性に関する調査を実施。調査の結果、学校の理念と生徒の特徴の間に、十分な相関性があることが分かった。
■教員による生徒の接し方や学校の環境についてディスカッション
この調査は、静岡聖光学院中学校・高等学校と株式会社リバネスの教育総合研究センター、並びに社会心理学者の正木郁太郎氏と共同で行われた。調査の始めに、日頃の教員による生徒への接し方、学校の環境づくりなど、同校の中で、考えうるさまざまな因子とその想定する効果について、ディスカッションを重ねた。
■物事に対する関心とワクワクが利他的な人材を育てる
ディスカッションの結果、人間関係、授業と学習、学校環境の特徴、育てたい生徒の特徴などを洗い出し、「主体性、自己肯定感、物事に対する関心とワクワクが周囲を巻き込む行動を促し、その結果、利他的な人材の育成に繋がる」という仮説を立てた(下図参照)。
■中1から高3まで374名がアンケートに回答
調査手法としてオンラインによるアンケート調査を実施。自己肯定感や物事への関心の強さなどの項目の平均値を分析。相互の関係を分析することと、部活動への参加や、学生寮への入居など、学校生活の特徴と生徒の意識・価値観への関係を明らかにした。なお、アンケートは、中学1年生から高校3年生までの合計374名が回答した。
【調査結果】
■ディスカッションでの仮説が実証される
調査の結果、「主体性、自己肯定感、物事に対する関心とワクワクが周囲を巻き込む行動を促し、その結果、利他的な人材の育成に繋がる」という仮説の全体像の中で、それぞれの前後関係に有意な相関が認められた。
■自己肯定感と周囲を巻き込む行動に相関関係
また、自己肯定感が、周囲を巻き込む行動と関係があり、主体的な行動の頻度が高まる結果として、聖光生としての自分を意識する機会や、学校生活の充実を指す学校へのエンゲージメントも高まっていた(下図参照)。
■生徒の自己肯定感を育てるための2つの取組
これらの結果から、自己肯定感が高まることにより、学校の教育理念の浸透である利他的な人材が育成され、学校へのエンゲージメントも高まることが示唆された。また、生徒の自己肯定感を高めるため、学校の取組の中でも、特に以下の2点が示唆された。
①失敗を受け容れて挑戦を促せる対人関係
②生徒が主体的に学校・教育活動に参加して自ら変えていける環境が重要であること
■主体性を持って部活動に参加することが自己肯定感につながる
さらに、学校生活の影響に関する詳細の分析結果から、生徒の自主性や主体性を促しつつ部活動に参加することが自己肯定感やエンゲージメントをより高める傾向があることが示唆された。
静岡聖光学院中学校・高等学校では、この結果を踏まえ、継続して生徒の行動の変化を促す教育プログラムを進めていく。