政府は、「地域における大学の振興及び若者の雇用機会の創出による若者の修学及び就業の促進に関する法律案」を2018年2月6日に閣議決定しました。新法案は、地域における若者の修学及び就業を促進し、地域の活力の向上及び持続的発展を目的に、地域における大学振興・若者雇用創出のための交付金制度の創設、特定地域(東京23区)内の大学等の収容定員の抑制、地域における若者の雇用機会の創出等を規定したものです。
文部科学省では、この法案の中で「特定地域内の大学などの学生の収容定員の抑制」についての詳細をホームページに掲載しています。2000年から2015年で地方の若者が532万人(約3割)減少している一方で、東京圏への転入超過数は約12万人、このうち大学進学時の転入超過は約7万人、特に東京23区には全国の学生の18%が集中しています。
今後18歳人口が大幅に減少する中、東京23区の定員増が進み続けると、さらに地域間の大学の偏在が進むとともに、地方大学の中には経営悪化による撤退等が生じ、高等教育の修学機会の格差が拡大していくことになりかねません。
この状況を踏まえ、法律案において、地域に大学振興・若者雇用創出のための交付金制度や地域における若者の雇用機会の創出等の措置と合わせて、大学等の設置者又は大学等を設置しようとする者は、特定地域内学部収容定員を増加させてはならない旨を規定することになります。特定地域とは、学生が既に相当集中している地域等として東京23区を政令で規定する予定で、10年間の時限措置となります。
この規定については、大学選択の自由を奪うもの、という批判も出ていますが、大学入学時に首都圏に転入してきた人は就職時においても首都圏への残留率が高いく、就労人口も首都圏に集中する傾向にあることは事実です。東京の大学には行きづらいから、ではなく、地方に目を向けて魅力を感じる、若者が増えて活性化される、といったポジティブなきっかけになるといいですね。