大阪の千里万博公園にある、国立民族学博物館(みんぱく)では、今年度から2年間、中学生以上の知的障がいのある(療育手帳を持っている)方々を対象とした試行的ワークショップ「みんぱくSama-Sama(サマサマ)塾」を始めます。ワークショップの名前にある「Sama-Sama」とはマレー語で「あなたと私は同じですよ、一緒ですよ」という意味です。
みんぱくSama-Sama塾で予定しているプログラムは、下記の通りです。
1.「世界の文化を学ぶ」講義(30分程度):各地域の文化に関する講義
2.展示場での観覧(40分程度):クイズラリーなど
3.アート制作、楽器演奏体験、民族衣装の試着など各種オプション
なお、内容は参加者の状況によって変更する可能性があります。
ワークショップへの参加希望者は、まず「みんぱくSama-Sama塾」の塾生として登録します。後日、登録された方々に予定しているワークショップの開催情報が届きます。2018年度は7月から12月頃までの土日祝日に6回開催する予定です。活動場所は国立民族学博物館、参加費は無料です。案内サイトの登録フォームにて8月31日まで随時募集しています。また、ワークショップに参加する塾生には、保護者もしくは介護者の付き添いが必要です。
このワークショップは、知的障がいのある方々へ生涯学習の場を提供する目的で開催されます。現在、日本においては知的障がいのある方が学校を卒業した後で学べる場所はほぼありません。しかしもっと勉強をしたい、学びたいと思っている人は少なくないでしょう。また、グローバル化が進む現代社会において、障がいの有無に関わらず世界の文化や民族、そして多様な生き方や考え方を学ぶことは必要不可欠ではないでしょうか。
そして現在の博物館は、まだまだ知的障がいのある方に対応しきれていません。ワークショップで付き添いの方にも一緒に参加してもらうのはそのためです。博物館を利用する際の問題点や改善点などについて、共に考えていきたいというねらいもあります。付き添いの方々の意見やアンケート調査をもとに、ハード面やソフト面での整備を行い、国立民族学博物館が知的障がいのある方々にとって利用しやすい博物館のモデルケースとなることを目指すこと、これもワークショップの目的の一つです。
障がいは障害でなく、個性である、という考え方が拡がっています。人はそれぞれ違うけれど、同じ場所で学びたいことを学ぶことができる、このワークショップがその第一歩なのではないでしょうか。