アクセンチュアが、時代のニーズに合わない教育や企業研修システムが、AI(人工知能)などの最先端技術がもたらす経済成長を阻む恐れがあるという調査結果を公表しました。
G20のうち14か国では、AIやアナリティクスなどの先端技術への投資により、今後10年間で合わせて11兆5,000億ドルのGDP成長が見込まれています。しかし、これらの国々の企業や教育機関などが新しい学習アプローチを積極的に取り入れない限り、求められるスキルとの差を埋めることは難しく、経済成長の可能性を逸してしまうかもしれないということが判明したということです。
アクセンチュアがG20若手起業家連盟と共同で作成し、発表した調査レポートによると、日本では、労働時間の54%は先端技術による高度化の余地があり、また労働時間の36%に自動化の可能性があるそうです。しかし、先端技術を活用できる人材を効果的かつ効率的に育成できなければ、10年間で5,440億ドルの日本の経済成長が危機にさらされ、GDPに毎年1.6ポイントのマイナス効果を与えるという調査結果に。これは調査対象の14か国の中で、中国、インド、米国、ブラジルに次ぐ5位の規模です。
ほぼすべての職種で、高度な論理的思考、創造性、社会的知性、センシング力といったスキルの重要性が高まりつつあり、先端技術の導入によって、これらの動向にさらに拍車がかかることになります。しかし、現在の学習アプローチは時代のニーズに沿っておらず、脳科学や行動科学の見地からも、より有効な学習法があることは明らかです。
アクセンチュアでは、求められるスキルとのギャップ解消に向けて、「経験学習の加速化」「組織ではなく個人に焦点を当てる」「AI弱者に学習の機会を与える」という3つのアプローチを推奨。教育機関では、座学での知識習得に留まらず、プロジェクトベースのアクティブラーニングやチーム学習の場を提供すること、個々の特性に応じた意味のあるスキルセットを習得させること、職の安定性が低く、教育を受ける機会も少ない人などに合わせた適切なトレーニングやキャリアパスを提供することなどを提案しています。
企業のリーダーや教育機関は、直ちにスキル習得に向けたアプローチの抜本的な見直しを行ない、経験に基づく学習を中心に据えることが重要としています。