教育現場でも実際のデータを活用した授業に注目が集まっています。文部科学省は、環境省、農林水産省、国土交通省、気象庁とともに、「気候変動の観測・予測・影響評価に関する統合レポート2018~日本の気候変動とその影響~」を作成し、レポートの概要をまとめたパンフレットとあわせて公表しました。
今回のレポートでは、観測結果に基づく気候変動の現状と将来の予測結果について、平成25年3月に前回のレポートが公表された後に得られた最新の知見を盛り込むとともに、気候変動により現在生じている影響及び将来予測される影響についての記述を大幅に拡充し、特に気候変動のへの適応策を考える際に役立つ資料としています。さらに、気候変動に関してよく抱かれる疑問について、コラムを活用してわかりやすく解説したほか、レポートの概要をまとめたパンフレットもあわせて公表しました。
目次から内容を追っていくと、まず「気候変動のメカニズム」について、その要因と温室効果ガスの変化について書かれています。次に「気候変動の観測結果と将来予測」、ここでは人工衛星などを使った観測技術、将来予測に関わる気候モデル、そして観測事実として気温、降水量、積雪、海水温、海面水位などを挙げています。
最後に「気候変動による影響」、ここでは世界、日本における気候変動への影響、そして産業や日常生活、自然環境に対して気候変動が及ぼす影響について書かれています。身近な例として、気候変動が私たちの健康に及ぼす影響の項目を見ると、気候変動によって熱中症など直接的な影響と、感染症への影響など間接的な影響を受けているといいます。感染症については、現状では患者数の増加としては現れていないものの、デング熱の媒介蚊であるヒトスジシマカの生息域が北上し、感染のリスクが上がっています。
こうした内容について、詳しいデータやそれに基づいた図表を数多く用いて、詳しく、分かりやすく紹介・解説されています。また同時に公表されている概要パンフレットでは、138ページの内容が代表的なデータと解説で8ページにまとめられています。社会科や理科の教材として、またデータやグラフ、図表を読み解く力をつけるために活用することができそうです。