文部科学省は6月12日、「学びの保障」オンラインフォーラムを実施し、その様子を「mextchannel」に公開した。フォーラムで丸山初等中等教育局長は、「学びの保障」総合対策パッケージについて説明。「学びの保障」をICTを活用して展開した事例を、尼崎市の松本教育長、箕面市の倉田市長、京都府の橋本教育長が報告。箕面市は夏期休業期間を短縮した8月にもオンライン授業を行う。
丸山初等中等教育局長は「あらゆる手段を活用して今年度の学びを取り戻すため全力でサポートする」「最終学年以外では2~3年を見通したカリキュラム編成で学びを取り戻すことを可能にする。行事や休業期間についても同様。免許更新受講の猶予、文科省の調査・委託事業の見送りも行う」「小6・中3・高3など最終学年を優先した対応を進める」「第二波に備え、8月末には優先すべき地域の学校でオンライン学習を可能にする」「1人ひとりができることを何かしようとする行為が尊いことである」と話した。
■尼崎市~松本眞教育長
オンライン授業を早々に実施。教による自作コンテンツ制作を極力せず、既存コンテンツを活用して省力化を図り、ICTを活用した家庭学習支援を行った。クラウドストレージは、すぐに活用できる「Box]を利用。担任が創意工夫できるツールを教育委員会が準備し、応援することを徹底した。
■箕面市~倉田哲郎市長
保護者の協力を得てICT環境が整わない家庭にタブレットPCやルーター等の貸し出しを進めた。
国の第一次補正予算を活用してモバイルルータ1000台を配備。通信費も10か月分を契約した(20GB・月)
5月11日からモデル校でZoomを使ったオンラインホームルームを実施。接続テスト等を経て5月20日には全小中学校でZoomによるオンラインホームルームを開始。
5月28日から中学校3年生でオンライン授業を先行して実施。タブレット端末は466台を、モバイルルーターは126台を貸し出した。
今後、夏休みについては8月7~21日とし(例年は7月21~8月25日)、
8月3~6日は暑さを考慮してオンライン授業を実施。8月18~21日は自由参加のオンライン補習を大なう予定だ。
なお6月1日から学校再開して2日に1回の分散登校を実施。中3については登校しない日はオンライン授業を行った。15日から通常授業を再開する。
■京都府教育委員会~橋本 幸三教育長
「休校期間だからこそできる課題解決化が学習を軸にした学びのサポート」を目的に、長期休業中の小中学生に向けた家庭学習用教材「京都府教育委員会からの挑戦状」を公開。臨時休校期間中ではあったが、正解が一つではない問いに子供たちが挑戦した。
課題は進度に合わせて4段階設定で用意。
算数・小5「同じ送料でより多くの荷物を運べる箱を知りたい」
理科・中2「人に羽を生やすことはできるのか?人はその羽で飛べるのか」など。
休校中に「挑戦状」を自校に合った形にカスタマイズして活用する学校が出てきており、主体的な学びへの授業改善が進んでいる。
京都府ではオフィス365アカウントをすべての学校の教職員と児童生徒(児童生徒16万4000人、教職員3万5920人)に発行。遠隔授業やオンライン学習などができるようにした。各校で様々な取組が始まっている。アカウント付与で学びのスタイルが広がる可能性がある。
京都府では4月補正予算及び5月補正予算で下記が決まっている。
★⾃宅学習のための環境整備(高等学校にGoogleアカウント無償配布・オンライン学習のための機器整備)
★学校再開に向けた準備(府立高校の全普通教室に電子黒板等を配備)
★京都府新型コロナウイルス感染症対策応援基金の創設
6月補正では下記を上程中だ。
★学校再開のための人的体制整備(教員加配、スクールサポートスタッフを全校に配置)
★学習再開のための物的体制整備(学校裁量による学習保障・感染症対策)
★部活動全国大会に代わる大会開催支援
なおGIGAスクール構想については京都府独自の共同調達を実施予定で現在準備中だ。