国立教育政策研究所が、今年4月に実施された平成30年度全国学力・学習状況調査の結果のとりまとめを公表しました。
調査事項は、児童生徒には国語、算数・数学、理科及び質問紙の調査、学校には質問紙調査が実施されました。今年度の変更点は、3年ぶりの理科の実施と調査結果提供の早期化です。
教科に関する主な調査結果は以下のとおり。
国語は、小学校は相手や目的に応じ、事例などを挙げながら筋道立てて話すことや、慣用句の意味を理解し、使うことについてはできている、主語と述語との関係などに注意して、文を正しく書くことに課題がある、など。
中学校は場面の展開や登場人物の描写に注意して読み、内容を理解することはできている、目的に応じて文章を読む際などに、情報を整理して内容を的確に捉えることに課題がある、など。
算数は、小学校は2つの異なる量がある場合、単位量を設定することで比較できるという、「比べ方」を理解することはできている、小数の除法の意味について理解や、グラフから読み取ったこことに基づいて適切に判断することに課題がある、など。
中学校は平面図形の運動による空間図形の構成についての理解、球が回転体としてどのように構成されているかの理解、見取図、投影図から空間図形を読み取ることはできている、事象を数学的に解釈し、問題解決の方法を数学的に説明することに課題がある、など。
教育現場の改善や運営に関する主な調査結果は以下のとおり。
主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善に関する取組状況については、授業で、課題の解決に向けて自分から進んで取り組んでいると肯定的に回答した児童生徒は7割を超え、平均正答率も高い傾向に。習得・活用及び探求の学習過程を見通した指導方法の改善及び工夫をしていると肯定的に回答した小中学校は9割を超え、平均正答率が高い傾向がみられました。
学校運営に関する取組状況についても、業務改善に取り組んでいる小中学校のほうが、児童生徒の姿や地域の現状等に基づいた教育課程編成、実施、評価、改善のPDCAサイクルを確立したり、学習指導と学習評価の計画作成にあたり、教職員同士が協力し合ったりするなどの傾向が見られ、平均正答率も高い傾向でした。
理科に関する興味・関心、授業の理解度については、一連の質問に肯定的に解答した児童生徒は若干の増加、ほぼ横ばいの傾向でした。
地域や社会と学校の連携・協働に関する状況については、取組により学校の教育水準の向上に効果があったかの質問については、肯定的に回答した学校の割合は、小学校で9割、中学校で8割を超えています。なお、保護者や地域の人が登下校の見守り、放課後支援などの活動に参加している小学校の割合は9割を超え、中学校の割合は9割近くに及んでいます。
学校運営については、授業や業務の改善、地域との連携など、教育現場の改革により、子どもたちの学力向上につながっているようですね。