文部科学省は、学校における幼児、児童及び生徒の発育及び健康の状態を明らかにすることを目的として、学校保健統計調査を昭和23年度より毎年実施しています。この度、令和元年度の速報が取りまとめられ、公表されました。令和2年3月に、確定値が公表される予定です。
トピックとしては、健康状態調査において、裸眼視力1.0未満の子どもが、小学校、中学校、高等学校で過去最多となっていることです。また、耳疾患は高等学校で過去最多になり、鼻・副鼻腔疾患と判定された子どもは、中学校および高等学校で過去最多となりました。逆にむし歯(う歯)と判定された子どもは、ピーク時の昭和40〜50年代より減少傾向が続いており、中学校および高等学校で過去最少となりました。
また、発育状態調査においてあまり変化は見られないものの、肥満傾向児及び送信傾向児の割合が、この10年間でおおむね横ばいもしくは増加傾向にあるということです。身長の平均値の推移は、平成6年度から13年度あたりをピークに、その後は横ばい傾向です。体重の平均値の推移は、平成10年度から18年度あたりをピークに、その後横ばいもしくは減少傾向でした。
裸眼視力1.0未満の者が小学校、中学校及び高等学校で過去最多となったことに関しては、現在「児童生徒の健康状態サーベイランス事業(日本学校保健会)」(文部科学省補助事業)において、視力と生活習慣に関する項目等(携帯電話・スマートフォン、読書、運動などの時間)との詳細な分析を行っており、令和2年度以降に実態調査を行った上で、視力悪化の詳細(近視、遠視、乱視)を明らかにして有効な対策を検討し、視力対策用の啓発資料を作成、公開することとしています。
デジタルデバイスの普及や運動と視力低下については、多くの教育関係者、保護者、そして子ども自身も気になっていることでしょう。また高等学校での耳疾患は、イヤホン、ヘッドホンの適正使用ができていないのでは、という懸念もあります。これから何十年も共に生きていく目や耳、大切にしてほしいですね。