国立教育政策研究所が、「OECD国際教員指導環境調査(TALIS) 2018年報告書」より、日本の教員の現状と課題のポイントを取りまとめたものを発表しました。
OECD国際教員指導環境調査は、学校の学習環境と教員の勤務環境に焦点を当てた国際調査。職能開発などの教員の環境、学校での指導状況、教員へのフィードバックなどについて、国際比較可能なデータを収集し、教育に関する分析や教育政策の検討に資することを目的としています。
今回の調査では、OECD加盟国など48カ国・地域が参加。日本では、2018年2月中旬から3月中旬にかけて調査を実施しました。
調査結果よると、日本の小中学校の教員の回答は、学級における規律や学習の雰囲気についてよい結果を示しており、中学校教員においては2013年調査よりよい結果でした。
しかし、教員の仕事時間は、参加国中で最も長く、人材不足感も大きいことがわかりました。
小中学校教員の1週間あたりの仕事時間は最長、特に中学校の課外活動の指導時間が長くなっています。質の高い指導を行う上で、支援教員の不足や特別な支援を要する児童生徒への指導能力を持つ教員の不足を指摘する校長が多い結果に。なお、教材の不足についての指摘は少ない結果でした。
主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善や探究的な学習に関わる指導実践、ICTについては、頻繁に行う中学校教員の割合は増えていますが、依然として低い状況。児童生徒の自己肯定感や学習意欲を高めることに対して高い自己効力感を持つ小中学校教員の割合は低いこともわかりました。
課題を踏まえ、文部科学省では、学校における働き方改革、新学習指導要領の着実な実施、ICTを活用した教育の推進、教員の資質能力向上の推進に取り組んでいます。