文部科学省が、全国でのがん教育の実施状況について初めて調査し、その結果公表しました。
調査は、平成28年12月にがん対策基本法が改正され、平成30年3月に一部修正された第三期がん対策推進基本計画において、「国は、全国での実施状況を把握する」と明記されたことを受け、全国でのがん教育の実施状況等を把握し、今後の施策の参考とすることを目的に実施しました。対象は、国公私立の小学校20,095校、中学校10,325校、義務教育学校48校、高等学校4,907校、中等教育学校53校、特別支援学校1,135校です。
調査結果によると、がん教育を実施した学校の割合は56.8%(21,239校)。実施方法は、「体育・保健体育の授業」が92.9%(19,728校)、「特別活動の授業」が7.4%(1,562校)、「道徳の授業」が2.9%(611校)、「総合的な学習の時間」が2.5%(541校)、「教育課程外の学校の行事」が0.9%(182校)でした。
一方でがん教育を実施しなかった理由は、「指導時間が確保できなかった」と回答した学校が最も多く、次いで「がん教育以外の健康教育を優先したいため、必要でないと思った」、「指導者がいなかった」でした。
がん教育を実施した際の外部講師を活用した学校は2,676校(12.6%)。活用した外部講師の職種は、「がん経験者557校(20.8%)」、「がん専門医454校(17.0%)」、「薬剤師392校(14.6%)」、「学校医358校(13.4%)」、「保健所職員266 校(9.9%)」でした。効果については、「健康と命の大切さについて主体的に考えることができた」と回答した学校数が最も多く、次いで「がんに関する知識・理解が深まった」「児童生徒にがん教育を強く印象付けられた」でした。
一方で外部講師を活用しなかった理由は、「教師が指導しているため、必要ではないと思った」が最も多く、次いで「指導時間の確保ができなかった」、「適当な講師がいなかった」でした。
調査結果の最後に、外部講師の活用以外の工夫について、特徴的な取組の一例を掲載しています。「養護教諭とのTT など指導方法」「学校公開や授業参観、ワークシートへのコメント記入など保護者への啓発」「がん関連団体作成の啓発資料等の活用」「保護者や将来の自分へのメッセージ作成」等です。
がんについて学び、健康や命の大切さについて考えたり、がん患者と支え合い生きていくことを知るためにも、がん教育は必要とされるのではないでしょうか。