国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2019)では、中学校数学で平均得点が有意に上昇、小学校理科で平均得点が有意に低下した。文科省は本調査結果を受け外国語・理科・算数等において小学校高学年からの教科担任制の導入(令和4年度目途)を検討するとしている。
■算数・数学、理科を国際的な尺度で調査
TIMSSは、国際教育到達度評価学会が児童生徒の算数・数学、理科の教育到達度を国際的な尺度によって測定する調査で、1995年から4年ごとに実施している。2019年調査には、小学校は58か国・地域、中学校は39か国・地域が参加。日本からは、小学校4年生約4200人(147校)、中学校2年生約4400人(142校)が参加した。
■前回調査より小学校理科の平均得点が低下
小学校・中学校いずれも、算数・数学、理科ともに、引き続き高い水準を維持している。前回の2015年調査に比べ、小学校理科においては平均得点が有意に低下している。また、中学校数学においては平均得点が有意に上昇した。
■多くの教科で「勉強は楽しい」と答えた割合は低い
質問紙調査では、小学校・中学校いずれも「算数・数学、理科の勉強は楽しい」と答えた児童生徒の割合は増加。小学校理科では「勉強は楽しい」と答えた児童の割合は、引き続き国際平均を上回った。一方、小学校算数、中学校数学、中学校理科については「勉強は楽しい」と答えた児童生徒の割合は、国際平均を下回った。
■小学校高学年からの教科担任制できめ細かな指導の充実を図る
今回の調査の結果を受けて、文部科学省は小学校高学年からの教科担任制の導入(令和4年度目途)を検討する。義務教育9年間を見通した指導体制の構築、教科指導の専門性を持った教師によるきめ細かな指導の充実、教師の負担軽減等の観点から導入を検討する。
<萩生田文部科学大臣 コメント>
文部科学省としては、児童生徒の学力・学習意欲の更なる向上を図るため、「新学習指導要領の着実な実施により、主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善や、言語能力、情報活用能力育成のための指導の充実」、「学校における働き方改革の推進、GIGAスクール構想の実現や少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備の検討など、新しい時代の学びの環境の整備」などの取組を学校や教育委員会等の関係者と連携・協力して推進する。