独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所では、調査研究として、全国の小・中学校弱視特別支援学級および弱視通級指導教室の実態調査を継続的に実施しています。この度平成29年度の調査結果のまとめが公表されました。
弱視特別支援学級については、小学校、中学校ともに年々増加傾向にあります。その数を平成14年度と比較すると、小学校では約2.8倍、中学校では約3.2倍に増えています。弱視通級指導教室は平成21年度以降では小学校、中学校ともに年々増加しており、平成14年度と比較すると平成29年度は小学校で4.2倍、中学校で11.7倍になっています。
平成21年度に弱視通級指導教室の数が増えた理由の一つとして、平成19年度の特別支援教育体制の実施を受けて、栃木県と島根県に設置された通級指導教室が全ての障害種の受け入れを可能にしたことがあげられます。このように、都道府県での受け入れ状況の変更が全体の数値に大きく影響しています。
弱視特別支援学級または弱視通級指導教室に在籍する子どもたちの視力については、強制した状態で、中学校弱視通級指導教室をのぞき、0.1以上の児童生徒が60%を占めています。また特別支援学級では、全盲から視力0.02未満の児童生徒が10〜15%で在籍しています。
子どもたちが使っている文字については、いずれの学級種においても90%以上の児童生徒が「普通文字」を使っています。「点字を使用している」もしくは「点字と墨字(普通文字)を併用している」という回答は小学校弱視特別支援学級では6.6%、中学校では5.0%でした。通級指導教室では小学校、中学校共に点字を使用している児童生徒はいませんでした。
調査結果にはこのような様々なデータが掲載されています。拡大鏡のような補助具の使用状況、使用している教科書の種類、通級指導教室における交流及び共同習の実施時数など、興味深いデータが数多くあります。弱視の子どもたちを支援する環境、現状がどのようなものか、ひも解いてみてはいかがでしょう。