文部科学省は８月28日、令和元年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果（速報値）を公表した。統合型校務支援システム整備率、無線ＬＡＮ整備率に特にバラつきが目立つ。本結果は２０２０年３月時点の実態の全国の公立学校における「学校ＩＣＴ環境」と効率学校の授業を担当している全教員の「教員のICT活用指導力」を調査したもの。
■大型提示装置
普通教室の大型提示装置整備率は59.２％。小学校では69・１％が整備済。中学校では55・７％。
８割以上の学校に整備しているのは４県で、最高値は佐賀県90・９％、次いで沖縄県82・８％、岡山県82・０％、福井県80・８％。最低値は秋田県17・２％。
■ネットワーク
無線ＬＡＮ環境の整備率は48・３％。小中学校共に５割程度の整備率。高等学校は４割に満たない。
7割以上の学校に整備済なのは、徳島県、静岡県、鹿児島県の３県のみ。最低値は新潟県の19・５％、
１００Ｍｂｐｓ以上のインターネット接続率は77・８％。前回調査より７・８㌽増。９割以上の学校が１００Ｍｂｐｓ以上で接続しているのは、大阪府、兵庫県、新潟県、神奈川県、福井県。
最低値は高知県の39・３％。
■統合型校務支援システム
県によるばらつきが顕著なのが、統合型校務支援システムだ。
8割以上の学校で整備されているのは11都県。
最高値は共同調達を短期間で行った鳥取県の１００％。次いで愛知県96・４％、静岡県91・２％、神奈川県88・６％、兵庫県88・６％。前回調査比で大きく整備率が伸びたのが高知県84・７％と岐阜県64％。愛媛県、岡山県、奈良県も10ポイント以上整備が進んだ。最低値は福島県の16・２％。
なお高等学校では78％が整備済。
■デジタル教科書
指導者用デジタル教科書は56・％。小学校では59・6％、中学校は65・４％が整備済。
80％以上整備しているのが、佐賀県、石川県、徳島県、熊本県。沖縄県。最低値は神奈川県の29・９％。
今回初めて聞いた学習者用デジタル教科書は８・２％。
ＧＩＧＡスクール構想の補助金対象になっている児童生徒用ＰＣや校内ＬＡＮ、ＷｉＦｉ整備率は次年度調査で大きく数値が伸びるのは確実。さらに１人１台ＰＣ環境が進むことで大型提示装置や超高速インターネット接続率も伸びることが予測される。確定値は10月末までに公表予定。
調査結果の概要 （ ）内は前回調査(平成30年度)の数値
(1)学校におけるICT環境の整備状況
・ 教育用コンピュータ1台当たり児童生徒数
4.9人/台 (5.4人/台)
・ 普通教室の無線LAN整備率
48.3％(41.0％)
(参考)普通教室の校内LAN整備率
91.2％(89.9％)
・ インターネット接続率(30Mbps以上)
96.3％(93.9％)
(参考)インターネット接続率(100Mbps以上)
77.8％(70.3％)
・ 普通教室の大型提示装置整備率
59.2％(52.2％)
・ 教員の校務用コンピュータ整備率
122.7％(120.5％)
・ 統合型校務支援システム整備率
64.3％(57.5％)
・ 指導者用デジタル教科書整備率
56.4％(52.6％)
・ 学習者用デジタル教科書整備率
8.2％(新規)
(2)教員のICT活用指導力
・ 教材研究・指導の準備・評価・校務などにICTを活用する能力
86.7％(86.2％)
・ 授業にICTを活用して指導する能力
69.8％(69.7％)
・ 児童生徒のICT活用を指導する能力
71.3％(70.2％)
・ 情報活用の基盤となる知識や態度について指導する能力
81.8％(80.5％)
