新型コロナウイルス感染症により臨時休校となったことから取り組んだオンライン授業では、不登校の子供の参加率が高かった。学校再開後の登校にもつながり、その維持率が例年以上に高かったという。青森市教育委員会の成田一二三教育長は7月22日、オンラインで報告した。主催は超教育協会。
2003年からの青森市の不登校の状況を見てみると、小中学校を合わせて毎年300人を超える不登校児童生徒が発生している。中学校は2016年から減少傾向にあるが、小学校では増加傾向にある。
全校がオンライン授業を実施
参加率は96・8%
休校時、本市もZoomにより子供の健康観察とコミュニケーションを図った。市内の4校を推進校として3月末にZoomを使ったオンライン授業の開始を模索。4校では4月5日からオンライン授業を開始し、それ以外の学校でも翌週から試行的にオンライン授業を始めた。4月20日から5月22日まで全校が本格的にオンライン授業に取り組み、5月25日から通常登校となった。
オンライン授業開始当初、家庭からの参加率は中学校で78・4%だったが、最終日となる5月22日には87・5%まで高まった。ネット環境が整っていない9・3%の生徒は学校に登校してオンライン授業を受けたので、これを合わせると、オンライン授業の参加率は96・8%に至った。
ここに、多くの不登校児童生徒が参加していることが各学校の報告で分かった。中学校では不登校生徒の74・6%がオンライン授業に参加。うち92・5%が通常登校が開始された5月25日以降も登校した。
登校継続率は7割以上
例年ならば4月に学校に通うようになった不登校児童生徒は、日が経つに連れて学校に通わなくなる傾向にある。2019年度は中学校の不登校生徒の登校率は数週間で40・7%に下がっていたが、2020年度は70・2%を維持した。
不登校児童生徒のオンライン授業参加率の高かった理由をスクールカウンセラーが聞き取り調査を行ったところ以下の4点が分かった。①皆が休んでいるので自分が登校しないことが苦にならない、②オンライン授業という新しい学習形態に興味がある、③周りの子供の目を気にせず参加できた、④勉強をするのが嫌いなわけではない。
過去3年間の青森市の不登校の要因を見てみると、「いじめを除く友人関係をめぐる問題」「学業の不振」「家庭に係る状況」の3つが上位だ。友人関係が原因で不登校になった子供は、勉強が嫌いなわけではないので、周囲の目を気にしなくても良いという点からオンライン授業に参加していたようだ。
今後、これまで学校での面談が中心だったスクールカウンセラーはオンラインでの面談を検討している。また、学級担任も家庭訪問や面談のほか、オンライン面談を実施し、通常授業もオンラインで配信することで不登校児童生徒が参加できるようにしたいと考えている。