静岡聖光学院中学校・高等学校は、コロナ禍で登校できない生徒を救うため「未来の教室プロジェクト」の活動を開始した。有志教職員一同が中心となり、自宅の生徒も教室と同条件で授業が受けられる「未来の教室」プロトタイプを作り、それを日本中の学校関係者らに広げることで教室のあり方を議論する。
■オンライン授業の利点を伸ばす工夫を取りまとめ
静岡聖光学院中学校・高等学校では、3月2日よりZoomを活用したオンライン授業を実施してきた。教育における様々なメリット・デメリットが見えてきた中、学校教育ICTを牽引する若手有志の教員が中心となり、オンライン授業の利点を伸ばしマイナスをカバーする工夫を現場で蓄積してきたものを取りまとめた。
■「未来の教室」プロトタイプモデルを運用開始
学びを止めないという思いから、若手教員が中心となり、学内でトライ&エラーを繰り返しながら低予算での教室設備のハード改善を企画。夏休み明けの新学期には「未来の教室」プロトタイプモデル運用を開始し、3か月かけて生徒達の声を拾いながら検証を実施。報告書の公開をする事で経験値の共有化を図る。
■ハイブリッド型教育の可能性を探る
Afterコロナにおけるハイブリッド型教育の可能性については、ICTに興味のある他校の教員と情報交換を兼ねたコミュニュティ作りも行っていく。外部の人に向けた内覧会を行い、現時点での問題点や実践していることを紹介。多くの意見を聞きながら、未来の教室の必要性について議論を深めていく。現在全国5校の先生が参加予定。
<「未来の教室」プロトタイプモデルについて>
①想定される利用ケース
・コロナ等による学校休校時(全校一斉・一部)のオンライン授業双方向配信
・持病等によりコロナ感染予防の為の積極的自宅学習を望む一部生徒への教室授業双方向配信
・長期入院等による授業を受けられない生徒に対する教室授業双方向配信
・不登校・ひきこもり生徒に対する教室授業双方向配信
・物理的に離れた学校(国内・海外)との教育交流
・オンライン授業、セミナーへのゲスト講師の招聘
・南極や宇宙ステーションなどの極限状況の疑似体験
②プロトタイプ教室ICT設備増強箇所
・授業映像配信用天井固定リモートカメラ
・授業音声配信用卓上マイク
・校外参加者を教室内で画面表示するモニター
・教室内俯瞰用カメラ
・3画面表示切替フットスイッチ
③1教室当たりのコスト上限予算:20万円
④その他
・このプロジェクトを通じて、主体的に動けば「自分が世界をより良く変える事ができる」というマインドセットを1人でも多くの生徒・教員が体感したい。
・次世代人材育成を担う学校で、トライ&エラーを繰り返す探求活動の教育的意義を実践したい。
⑤スケジュール
・プロトタイプ運用試験開始:2020年9月1日(火)
・運用検証期間:2020年9月1日(火)~2020年11月30日(月)
・教室内覧会・情報交換会:2020年9月26日(土) ※オンライン開催
・報告書完成:2020年12月頃
※同プロジェクトは広報活動の一環としてクラウドファンディングにも挑戦している。
『未来の教室プロジェクト』 CAMPFIRE
https://camp-fire.jp/projects/293446/preview?token=3627u20p