全国の中高生を対象にした黒板アートの大会「日学・黒板アート甲子園®2020」の結果が発表された。毎年の作品が楽しみな本大会で、今回の最優秀賞は大阪府の好文学園女子高等学校が初受賞した。ボッティチェリの「春」をオマージュした女子高生たちの佇まいが高校生らしさいっぱいで、「これまで当たり前にできていたのに」という思いも表現されており、とても素敵だ。このほか目を見張る素晴らしい作品ばかりで実物を見ることができないのでは残念だ。中高生のパワーに感動する。動画部門では、作成のプロレスを見ることができる。白板が増えたこともあり白板部門もある。
■メイン大会101作品・ジュニアの部27作品の応募
黒板・白板メーカーの日学株式会社は、2015年から通算6回目となる「日学・黒板アート甲子園®2020」を開催。メイン大会(高校生)は101作品・45校、ジュニアの部(中学生)は27作品・16校が参加した。
■withコロナでも頑張って応募
withコロナの中、メイン大会の応募作品数は前回比で70%弱、参加校数は約51%となった。他方、緊急事態宣言解除後の5、6月、ミニ黒板を使ってtwitter企画で個人参加した生徒や、校内限定文化祭で黒板アートに挑んだ朝霞西高等学校など、黒板アートの普及につながった。
【メイン大会 最優秀賞】
◆好文学園女子高等学校/好文学園黒板アートAチーム(11人)
「懐かしい未来」
<制作エピソード>
ボッティチェリの作品「春」をオマージュ。いつもの春の楽しく気持ちも踊るような日常を描きました。コロナ禍の影響で普段当たり前のようにできていたことができなくなってしまったことや、自分たちの失われた日常への気持ちを黒板に込め、楽しげな雰囲気を表現しました。
<審査員長 武蔵野美術大学 三澤一実 教授 コメント>
ボッティチェリの「春」をオマージュした作品で、高校生の楽しそうな様子がリアルに描かれ、これから新しい生活が始まっていくようなイメージを与えてくれる作品です。今年の春は新型コロナウイルスの影響で、こういう楽しい雰囲気はありませんでしたが、見る人を非常に前向きな気持ちにさせてくれるパワーがある作品だと思います。細かいところまでこだわりを持って描き込まれているのも魅力的で、全審査員とも最優秀賞に異論がありませんでした。
【メイン大会 優秀賞3作品】
◆埼玉県立大宮光陵高等学校/とりずき(3人)
「Colored owl」
<制作エピソード>
高校生になり初めての黒板アートです。これから色んな事を経験して、無色から様々な色に染まっていきたいという想いを込めました。森の賢者と呼ばれる梟の大きく羽ばたく様子で、私達の大きく成長しようという気持ちを表現しました。
◆香川県立善通寺第一高等学校/うみんちゅ(5人)
「消し忘れ注意!!」
<制作エピソード>
完成したのは夏休みの最終日!次の日から授業が始まるので、皆で製作した作品をたった一日で全て消さなくてはならず、黒板消しで消している時にとても悲しい気持ちになりました。しかし、今回この5人で協力して最後まで投げ出さずに一つの作品を作り上げた経験は大人になってもきっとずっと忘れない価値のあるものになったと思います。
◆福島県立会津学鳳高等学校/会津学鳳高校美術部(6人)
「掴め!!」
<制作エピソード>
屏風を押しのけ、何かを掴み取ろうとする猫。その手が求めるのは、夢か、希望か、猫じゃらしか…。いろいろ想像して楽しんでください。観てくれた人の元気が出て、目線を上に向けたくなるような作品を目指しました。明るい未来が掴めますように!
【ジュニアの部 最優秀賞】
◆川崎市立金程中学校(神奈川県)/美術部2年(3人)
『セカイ創造』
<制作エピソード>
「黒板のうらがどうなっているのか…」を考えて描きました。普通の黒板は普段の姿、倒れた黒板の裏は自分たちの想像の世界、つまり、マイワールドを表しています。タイトルも含め、色の鮮やかさや描いたものの印象で非現実的感のある世界にしました。タイトル『セカイ創造』の世界、がカタカナなのは、現実空間である「世界」と区別をつけるためです。この作品を通して、自身のオリジナリティーを表現する楽しさを感じてほしいです。
【白板アート甲子園 最優秀賞】
◆東京都立六郷工科高等学校/夢の別れ(2人)
「東京の夜景」
<制作エピソード>
東京オリンピックに向けて、世界中の人々に東京の街の美しさを伝えたいと思ったからです。色は7色(黒、赤、青、黄、緑、オレンジ、ピンク)を使用しました。お互いの色が重ならないように描くのと、明暗をはっきりさせることが大変難しかったです。特に月と空のリアルな表現を生み出すために、実際の写真を何度も見直して描く工夫をしました。
その他、メイン大会はエリア賞など17点、ジュニアの部は入賞など2点、白板アート甲子園は入賞など2点、動画部門は入賞など2点が決定。