日本教育工学会では「現代的教育課題に対するSIG(Special Interest Group)」を立ち上げ、学会における特定の重要なテーマについて研究を進めています。この中の「教育の情報SIG」では、2月末に政府から全国的に「臨時休校」の要請が発表されたことをきっかけに、2020年3月31日に「学校と家庭をつなぐオンライン学習ガイド」を作成しました。
このガイドの狙いは、まだオンライン学習の経験が浅い学校現場の先生に対して、学校と家庭をつなぐオンライン学習を実施する際に、役立つ情報や気を付けるべき留意点等の概要を周知することです。日本教育工学会の「SIG活動」のページから、学習ガイドのPDFファイルをダウンロードできます。
具体的な内容としては、「学校と家庭をリアルタイムでつなぐオンライン学習の方法」、「学校と家庭の間で時間を合わせずにやりとりするオンライン学習の方法」、「オンライン学習の効果的な事例」、「オンライン学習を行う上での留意点」の4つの章に分け、それぞれにおいてポイントを簡潔に紹介します。さらにガイドラインに示されている内容をより詳細に知りたい方のために、外部のWebサイトへのリンクも準備しています。
リアルタイムでつなぐオンライン学習の章では、授業や課題の出し方だけでなく、朝の会での健康観察、学校行事の配信といったことについても書かれています。現在の休校措置の中で、学校の先生がクラスの子どもたちの様子や健康状態を把握するために、電話や家庭訪問などが実施されています。このような一人一人時間をかけて行っていることも、オンラインで朝の会を実施すれば一度に確認することができます。休んでいる子どもたちにとっても、決まった時間にアクセスすることで生活リズムを整えることにつながります。
今はなるべく外に出ないこと、人との距離を保つことがなにより大切とされています。しかし学校という子どもの居場所とのつながりは、学校が再開できたときのためにも保っておきたいものです。将来的に教育のICT化を進める上でも、オンライン学習の検討はチャンスかもしれませんね。