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学校評価で学校改善(2) 定員割れから1.5倍に 最低点も大幅UP

小山宣樹
小山宣樹
11年間教育行政に従事。工業高校学校長として学校改革に着手。現在全国工業高等学校長協議会で文科省委託事業の運営委員。

学力や部活動の実績等で徐々に作られる学校イメージは、長い年月をかけて地域社会に定着するもので、すぐには変えられるものではない。しかし明確なミッションと継続的な活動、それを周囲に知らしめるアイデアにより、大きく変えることができる。一枚のポスターが企業イメージを高め、成功につながった例がある。和歌山県立紀央館高等学校でもイメージポスターの制作と掲示活動の過程を通して学校、家庭、地域が望む学校に変わっていった。

全日制の商業科と工業科を持つ同校は、入学希望者の減少、学力格差の拡大、進路の多様化、中退者の増加等により、学校改革が行われ、単位制の普通科と工業科を併せ持つ学校として再出発。学校の特色である単位制のミッション(使命)(※)とビジョン(構想)を明確にし、それを「それぞれの価値 それぞれの道」というフレーズで校歌において表現。さらにイメージポスターを制作した。(※「単位制の特色を生かした学校づくり」「職業教育を生かした学校づくり」「生徒の自主活動を生かした学校づくり」「地域と連携した学校づくり」)

ポスター制作費の捻出には、保護者会や同窓会への趣旨説明が必要だ。公民館や飲食店等ポスターの掲示場所の提供者にも、ポスター制作の趣旨説明を行う必要がある。

この過程には重要な意味がある。説明という活動を重ねることで、近くの住人からは「これまでは、生徒の良くないところにばかり目がいっていた。生徒が学校や地域でいろいろな取組を行っていることを知り、これからは応援したい」、地元企業や大学の方からは「学校で育てていただいていることにもっと敬意を払わないといけない」など多くの人が学校の実践を理解、注目するきっかけになるからだ。

次に起こることが、この学校イメージの実現に向けた「生徒の行動の変容」だ。ものづくり等の特色ある教育や地域との連携、生徒会活動や部活動、学校安全や校内美化等への取組が加速した。

すると、定員割れが常態化し、縮小が進んでいた専門学科は「地域に残り地域産業を支える人材を輩出する学科」であり「地域にとって必要」という認識が広がり、本校を目指す生徒が増加。倍率は1・5倍に、入試最低点も大きく上昇した。

学校のミッションとビジョンを明確にし、それに基づく教育実践と、ポスター作りを通して、学校のイメージアップを図る取組は、その後和歌山工業高等学校でも実践。成果を得ることができた。

次回は和歌山工業高校の実践を紹介する。

 

【2015年12月7日】

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