第43回教育委員会対象セミナー・大阪 ICT機器の整備計画/校務の情報化
10月17日に第43回教育委員会対象セミナーを大阪・CIVI研修センターで、11月2日に第44回教育委員会対象セミナーを札幌コンベンションセンターで開催した。大阪で開催された講演内容を紹介する。次回、第45回教育委員会対象セミナーは、12月6日に東京・KFCホールで開催する。
国立教育政策研究所教育課程研究センター・鹿野利春教育課程調査官 |
新学習指導要領は平成30年度より移行措置期間に入る。鹿野氏は「もう『待ったなし』の状況であり、そのために必要な準備を進めなければならない」と語る。
世の中が将来どうなるかを見通せない現代において、よりよい社会を実現してく力とは何か、それをどう育成していくのか、が新学習指導要領の背景だ。「育成すべき資質・能力の3つの柱」のうち「学びに向かう力、人間性等」は、評価できる部分と、評価しにくい部分がある。1時間の授業で育つものではなく、単元の中での工夫や年間の授業計画が必要だ。
具体的にどのように学ぶかは、「主体的・対話的で深い学び」と表現している。学び方を変えるには、教え方も変えなければならないということだ。教科連携を実現するためには、前年度からの準備が必要で、カリキュラム・マネジメントも求められる。
「学びの改善」としては、各教科等を通じた「情報活用能力の育成」を求めており、思考力、判断力、表現力を発揮する「場」を用意しなければならない。そのためには、例えば「提示」するための大型提示装置、「検索」するためのインターネット接続、普通教室で活動する際の無線LANなどのICT環境が必須になる。また,文部科学省の有識者会議においては、情報端末は、3クラスに1クラス分程度の配置を想定することが適当であると提言されたところであり、グループ共有や協働作業のための効率的なツールとしての活用が求められているものと考えられる。教員にはこれらを前提とした授業設計をお願いしたい。
教育の情報化が目指すものは、まず「情報活用能力の育成」である。これは各教科等の中で行われる。次が「教科指導におけるICT活用」。効果的に活用した分かりやすく深まる授業の実現を目指す。これらと「校務の情報化」の3つをバランスよく進めることで、教育の質の向上が図られる。
教育の情報化加速化プランでは、授業、学習面でのICT活用を積極的に進めており、「AIにとって代わることができない力」の育成を目指している。
教員が授業を変える際には、それなりの準備が必要だ。「教育ICT環境整備指針」については平成29年度までにまとめる予定で、これを参考にして環境整備を進めてほしい。無線LANについては、県のポリシーとすり合わせて設置を進めること。これがないと、ICTのメリットを活かした学習が成立しない。
プログラミング教育は小学校で必修化され、各教科等の特質及び発達段階に応じて体験的な学習活動を取り入れていく。その学校で何を目指すのかを、他の教科、科目と合わせて達成していくことを求めている。
中学校は、計測・制御に留まらず、段階的かつ発達段階に応じた指導が必要だ。
高校については、中学校の内容をベースとしてプログラミング教育を展開。教科「情報」については、現行の2科目から1科目「情報T」として、全員がプログラミングを学ぶ機会を設けた。選択科目「情報U」ではさらに進んだシステムのプログラミングやデータサイエンスなどを学べるようにする。特に公立の学校では、いかに円滑に新学習指導要領に基づいた指導を実施できるかが課題になってくるだろう。
プログラミングの授業を始めとして、教員の限界が、子供の限界を規定するようなことになってはいけない。そのための準備として「未来の学びコンソーシアム」を立ち上げた。文部科学省のほか、総務省、経済産業省、企業、教育委員会、有識者等の協力を得てコンソーシアムを構築。次の学びに向けての準備、特に小学校のプログラミングについては、ニーズに応じた教材開発の促進も含めて進めていく。
今後、文部科学省において「小学校プログラミング教育指針」(仮称)を公表する予定で、年度末に向けてまとめる。
【講師】国立教育政策研究所教育課程研究センター・鹿野利春教育課程調査官
【第43回教育委員会対象セミナー・大阪:2017年10月17日】
【2017年11月13日】
1、国立教育政策研究所教育課程研究センター・鹿野利春教育課程調査官
2、文部科学省情報教育課・松本眞課長補佐
3、芦屋市教育委員会学校教育部打出教育文化センター・幸谷省吾主査
4、淡路市立一宮中学校・田渕一行教諭
5、朝来市立竹田小学校・國眼厚志教諭
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