2016年度タブレットPC・端末導入計画を調査<教育家庭新聞社調査>

クラス用PC導入が増 無線LAN整備も視野

教育家庭新聞は本年4〜5月、全国の教育委員会を対象に「タブレット端末・PCの導入状況や計画」についてアンケートを実施し、18都府県教委及び436市区町村教委から回答を得た。本調査は今年度で3年目。ほぼ同様の内容を若干リニューアルしながら継続して行っている。アンケート調査結果によると最も多いのがPC室更新の際の導入で、普通教室との共有が多く、中にはPC室廃止を検討する自治体もある。一方で昨年度に比べると、PC室整備とは別にクラス用PCとしての整備が徐々に増えている。また、小規模自治体が何等かのアクションを起こしている。都道府県教委の方針の影響が見られる自治体もある。導入の際に他自治体を参照しているという回答は予想外に少ないが、近隣自治体や同規模自治体の整備内容に影響されている様子もうかがえる。各自治体における5月16日現在の整備計画を報告する。

都道府県

普通教室にタブレット端末
タブレットを協力的な学び合いで活用
(白馬村立白馬中学校・長野県)

平成27年度までにモデル校を含めて何等かのタブレットPC整備を行っている自治体は14件。
今年度追加あるいは新規で何等かの整備を予定しているのは12件(茨城県・埼玉県・愛知県・三重県・高知県・佐賀県・熊本県・宮崎県。掲載許可ありの自治体のみ記載。以下同)。これまでの整備状況と今後の整備計画を紹介する。カッコ内は学校規模。

【茨城県】

県立特別支援学校22校中16校に計166台導入済。今年度は実証校(高等学校3校83台、中等教育学校2校82台)に8月末までに整備(Windws10)。教員授業用、生徒個人学習・グループ学習・校外活動・交流学習用を想定。校務支援システムの導入も予定。教育クラウドは導入済。(高等学校95校・分校1校・中等教育学校2校・中学校1校)

【埼玉県】

今年度は実証校(高等学校10校計400台)に8月末までに整備。生徒個人学習・グループ学習用を想定。追加で無線LANも整備。(高等学校139校・特別支援学校36校)

【愛知県】

平成27年度は実証校(特別支援学校8校・80台)に整備(iOS)。今年度も継続。クラウド活用は検討中。(高等学校149校・特別支援学校26校)

【三重県】

今年度中に高等学校1校の普通教室用として計320台を整備。教員授業用・校務用、生徒個人学習・グループ学習・交流学習用を想定。無線LANと授業支援システムも導入。クラウド導入は検討中。(高等学校58校・特別支援学校13校)

【京都府】

学校独自に導入。(高等学校47校・特別支援学校11校)

【兵庫県】

2092台整備済。(高等学校147校・中等教育学校1校・特別支援学校26校)

【高知県】

PC教室に導入済。普通教室と共有。今年度も継続で高等学校9校・計9台(Windows10)。教員授業用・生徒個人学習・グループ学習・校外活動・交流学習用を想定。無線LAN、MDM、授業支援ツール、デジタル教材も導入予定。PC教室は強化。(高等学校34校・中等教育学校3校・特別支援学校7校)

【佐賀県】

高等学校36校、中学校4校、特別支援学校8校に導入済み。特別支援学校はiOS。今年度は12月末までに高等学校36校に6448台、特別支援学校1校に14台、実証校2校に821台を導入予定(Windows8)。教員授業用、生徒個人学習・グループ学習・交流学習・家庭への持ち帰り用を想定。PC教室の廃止も検討。なお高等学校の整備は一部県費で補助。(高等学校36校・中学校14校・特別支援学校8校)

【長崎県】

前年度までに高等学校12校に229台、特別支援学校11校に128台を整備済。(高等学校56校・中学校3校・特別支援学校13校)

【熊本県】

各教室に1台の割合で整備。ICT実証校には追加で42台整備済。今年度は普通教室用として高等学校8校に計192台を8月末までに整備(Windows10)。教員授業用・生徒グループ学習・校外活動・交流学習用。無線LANと授業支援システムも整備予定。(高等学校55校・特別支援学校17校)【宮崎県】平成24年度から県立学校に導入を開始。平成24年度9校(全体で360台)、平成25年度9校(全体で387台)、平成26年度9校(全体で180台)。今年度も整備予定だが規模は未定。無線LAN整備も予定。(高等学校38校・中等教育学校1校・特別支援学校13校)

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なお昨年度の本調査において何等かのタブレットPC等を整備済と回答したのは前記のほか、宮城県(モデル校)、秋田県(特別支援学校)、長野県(モデル校)、高知県(2校)、愛媛県(特別支援学校)、山口県(県立学校1及び全特別支援学校)。

■自治体名掲載不可

▽前年度までに特別支援学校9校に133台(クラス用として活用しているPCのみ計上)。今年度も整備予定あり。

▽全高等学校の普通教室にタブレットPC1台を導入。なお64校に対して各校1学級分(43台)を導入済。今年度は高等学校60校に計2580台、中等教育学校5校に215台、特別支援学校58校に計799台を整備予定(Windows10/Windows8/iOS)。LTE端末とクラウド活用も検討。▽高等学校492台、中学校16台、特別支援学校11台を導入済。今年度は8月末までに高等学校38校に458台を導入予定(iOS)。

 

市区町村

設備状況と今年度以降の計画を調査

平成27年度までにモデル校を含めて何等かのタブレットPC整備を行っている自治体は227件。今年度継続あるいは新規で何等かの整備を予定している自治体は139件。PC室に整備して普通教室と共用する場合は無線LANも整備されることが多い。Windows10の選択が増えた。昨年度見られなかった「無線画像転送装置(無線対応プレゼン機器)やMDMの配備、LTE端末やクラウド活用の検討が見られる。タブレットの校務活用も始まりつつある。これまでの整備状況と今後の整備計画を紹介する。カッコ内は学校規模。なお自治体名掲載は許可ありのみ。

北海道 <18市町村紙面掲載>

【北海道 富良野市】

昨年度から継続してPC教室にタブレットPCを整備・普通教室と共有なし。今年度は8月末までに小学校に59台と電子黒板機能付きプロジェクターを整備。(小学校9校・中学校6校) 

 

東北<6県14市町村紙面掲載>

【青森県 弘前市】

インクルーシブ用165台、「弘前式」ICT活用教育推進事業70台、常磐野小中学校16台・英語科用32台、計283台を整備済。今年度は特別支援教育向けに小学校25校69台、中学校12校45台、幼児ことばの教室等に21台を8月末までに整備(iOS)。PC教室廃止・クラウド活用・セルラー端末なども検討中。(小学校35校・中学校16校)   

 

関東<1都6県27市区町村紙面掲載>

【茨城県 古河市】

市内32校から選出された26名の教員を「エバンジェリスト」(伝道師を意味)として年間通じてiPadを活用したアクティブラーニングを検討・研究を行っている。エバンジェリスト教員1人につき本人及び児童用として10台のiPadを貸与。今年度は中学校1校40台を普通教室と共用でPC教室に整備。教員養成用(エバンジェリスト10人分)として100台を8月末までに整備(iOS)。大型モニターも整備。(小学校23校・中学校9校) 

 

中部<7県22市町村紙面掲載>

【新潟県 十日町市】

実証校(小学校1校8台・中学校1校7台)に整備済(iOS)。(小学校19校・中学校10校)

 

関西<2府4県16市町村紙面掲載>

【三重県 朝日町】

小学校1校47台、中学校1校46台を8月末に整備予定(Windows8/Windows10)。無線LAN整備も予定。教員授業用・児童生徒個人学習・グループ学習用を想定。(小学校1校・中学校1校)

 

中国・四国<7県13市町村紙面掲載>

【岡山県 瀬戸内市】

教員1人1台・180台を配備済。(小学校9校・中学校3校)

 

九州・沖縄<8県27市町村紙面掲載>

【福岡県 岡垣町】

実証校(中学校2校)に教員授業用・生徒グループ学習用として30台8月末に整備(Windows10)。無線LANも予定。(小学校5校・中学校2校)

 

気になるのは近隣自治体

■自治体名掲載不可の今年度整備予定は80件

自治体名掲載不可の回答件数は203件。

そのうち、昨年までに何等かの整備を行っている自治体は102件、今年度何等かの整備を予定しているのは80件であった。

普通教室との共用整備が多いが、教員用としての整備も複数見られた。また、「普通教室用」として整備を考えている自治体は20件ある。小学校18校に1380台、中学校10校に400台を整備する自治体、平成28〜平成30年度で町内小中学校にタブレットを導入していく(iOS)計画の自治体などが見られた。

■参照する自治体は近隣∨規模∨内容?

今回初めて「導入の際に参考にしている自治体」について聞いた。ないという回答が圧倒的に多い中、参考にしている場合は近隣自治体が多く、続いて同規模自治体や導入形態などによる傾向も見られた。

茨城県古河市を参照していると回答したのは、群馬県太田市、ほか県内2市。秋田県八峰町を参照しているのは、新潟県内1村、秋田県内1市。

大阪府堺市を参照しているのは、兵庫県宍栗市、北海道札幌市。

神奈川県大和市を参照しているのは、県内1市。秋田県北秋田市を参照しているのは、県内1市。

茨城県つくば市を参照しているのは、県内1市。北海道千歳市を参照しているのは、北海道遠別町。福島県新地町を参照しているのは、県内1市。静岡県某市は、淡路市を参照。千葉県八千代市を参照しているのは、鎌ケ谷市。神奈川南足柄市を参照しているのは、県内1町。

複数自治体を参照しているという回答もあった。

東京都新宿区は、都内の千代田区、品川区、墨田区などの事例を参照。茨城県日立市は、つくば市、土浦市を参照している。青森県弘前市は、武雄市、古河市、品川区などの先進事例を参照。近隣地域を参照しているのは、長崎県平戸市。沖縄県石垣市は浦添市、恩納村を参照。青森県某町は複数と回答。宮崎県某市は、小林市、高原町を参照。鹿児島県某市は鹿児島市、霧島市を参照。

愛媛県西条市は文科省の基準を参照していると回答した。


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【2016年6月6日】

2015年度のタブレット端末導入計画を調査<教育家庭新聞社調査>

 

 

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