教育委員会対象セミナー・福岡 ICT機器の整備計画/校務の情報化

教育委員会や学校の整備担当者を対象に実施している「教育委員会対象セミナー〜ICT機器の整備と活用・研修」が、1月29日福岡で、2月16日に名古屋で開催された。次回は3月31日に岡山で開催される。
詳細=www.kknews.co.jp/semireport

校務分掌に「教育の情報化」を設置 柳川市立豊原小学校・住吉主堂教諭

柳川市立豊原小学校 住吉主堂教諭
柳川市立豊原小学校
住吉主堂教諭

情報モラル教育は
「知識」「心」両面で

柳川市立豊原小学校では、校務分掌に「教育の情報化」を設置して、情報教育や情報モラル教育、ICTの授業活用、校務の情報化を進めている。

「教育の情報化」分掌に所属する住吉教諭は、同校の情報モラル教育について報告した。

同校では現在、ノートとデジタル教科書を組み合わせた電子黒板を中心とした学び合い、ロボットを使ったプログラミング、タブレットPCを活用した学習など、多方面で児童が自由にICT機器を活用しているが、「ICT機器が身近になればなるほど、情報モラル教育の重要性を感じる」と語る。

各教科連携で
 指導計画を策定

情報モラル教育で扱う内容は広範だ。そこで最初に着手することが、情報教育年間計画、指導計画、研修計画の策定だ。

「知識」面と「心」面に分け、「心」面は主に道徳で行う。道徳では「情報社会の倫理」と「法の理解の遵守」を中心にメール・掲示板を題材に思いやりや言葉の力、情報への責任などを全学年で学ぶ。

「知識」面では、「あんしん・あんぜん情報モラルオンライン」などの教材から各学年で、情報の適切な活用や社会問題を引き起こす行為などについて、学級活動、総合的な学習、社会科と連携して学習する。

実態に応じた指導内容も吟味する。

オンラインゲームでなぜ課金問題が発生するのか。気軽に無料でダウンロードをする児童は多いが、あえて「システムエラー」が発生してPCが停止する疑似体験コンテンツを活用して、どのような危険があるのかを実際に示す。また、匿名の書き込みであっても様々な検索を複合的に組み合わせることで個人が特定されてしまうなど、児童の「自分ごと」感覚を引き出すことを心がけている。

教員研修で児童の
 リアルを共通理解

教員研修は、教員の「よく分からない」を減らすために、児童・生徒の「スマートフォンのある現実」を共通理解していく。

「実態が分かれば、ゲームはダメ、スマホはダメと禁止しても解決しないこと、教員自身が『やったことがないから分からない』で済ませるわけにはいかないことがわかる」

児童対象のアンケートによると、平成27年度の同校5、6年生はスマートフォン・携帯電話の所持率が55%、利用率は148%にのぼり、ゲーム利用率はほぼ100%である。そのうちSNSを利用して面識のない人と遊んだ経験を持つ児童は87%にも及んだ。小学生は、最初にLINEのゲーム、中学年になるとその他のスマートフォン対応ゲーム、高学年になるとその用途は多岐にわたる。

豊原小学校に限らず、現在多くの児童がSNSを通じて面識のない人とゲームをしており、課金によるトラブルや、招待や継続による報酬が一般化している。それが当たり前になって引き起こされる依存の問題やゲーム参加者間での仲間はずれも深刻だ。

同校では、保護者や教員を対象に、学校便りや学年便りで個人情報や課金アプリについての啓発も行っている。【講師】柳川市立豊原小学校 住吉主堂教諭

 

【第28回教育委員会対象セミナー・福岡:2016年1月29日】

【2016年3月7日】

関連記事

↑pagetop