教育委員会対象セミナー・福岡 ICT機器の整備計画/校務の情報化

教育委員会や学校の整備担当者を対象に実施している「教育委員会対象セミナー〜ICT機器の整備と活用・研修」が、1月29日福岡で、2月16日に名古屋で開催された。次回は3月31日に岡山で開催される。
詳細=www.kknews.co.jp/semireport

授業づくりプランで学校を支援 鹿児島市教育委員会学習情報センター・木田 博氏

鹿児島市教育委員会学習情報センタ木田博氏
鹿児島市教育委員会学習情報センター
木田博氏

授業力と発想力で
タブレットを活用

鹿児島市では、市教育振興基本計画に「情報教育の充実」を位置付け、児童生徒の情報活用能力の育成や教員のICT活用指導力の向上、学校におけるICT環境の整備や維持管理に取り組んでいる。

既に、教員1人1台PC、全校に50インチのデジタルテレビを導入済みで、学校規模に応じて電子黒板を各2〜4台、児童生徒用PC20〜100台、タブレットPC5〜11台、デジタルペン授業支援システムなどを整備。タブレットPCには、スマートフォン用グリップを装着して落下防止を図ったが、使いやすいと好評だ。

タブレットPCを始めとするICT機器整備の手順は以下だ。▼授業改善の課題を洗い出し▼実現したい授業像を明確化▼その実現に必要な環境の中でICT機器やソフトウェアの整備・導入を検討。

市では、「実現したい授業」として「問題解決の際に必要な情報を主体的に収集できる」「互いの考えを瞬時に共有・比較できる」「収集した情報を基に考えたことを多様な方法で説明・表現する」環境を想定して、授業支援システムやネットワーク環境を整備していった。

平成27年度は、中学校PC室更新に伴い、デスクトップPCから、タブレットPCとフルキーボードのセット整備に変更し、それらを普通教室で活用できるように、携帯できるアクセスポイント(AP)を整備。

デジタルテレビをタブレットPCの提示機器として活用できるように、ワイヤレスディスプレイアダプタも整備した。

多数のタブレットPCの稼動に耐えられるよう、さらにAPの拡充も検討している。また、校務用PCも平成27年度に更新を行い、平成28年度からは、鹿児島県としては初の校務支援システムを活用した指導要録等の公簿の電子化を行う。

対話・参加型の
 教員研修を展開

この6年で、教員研修の内容は大きく変化した。かつては、機能操作方法が研修の中心であったが、平成26年度からは、授業づくり(教科指導におけるICT活用、情報モラルの授業づくり、タブレットPC活用授業など)に重点を置いた対話・参加型の研修とした。初任者には、アクティブ・ラーニング型の研修も実施している。

木田氏は、「ある教員は、書画カメラを使うとき、ガラス板の上に定規を置くことで、使用方法を分かりやすく解説していた。ICTを活用した授業には、授業力にプラスして発想力も大事であると感じている」と語る。

アクティブ・ラーニングについては、「グループ活動やジグソー学習をすればよいわけではない。子供にとって、話し合わなければならない必然性と切実感のある課題を設定して、その解決のためにICTをどのような目的で、どのような効果を期待して活用するのかを考えるべき」という。

現在は、共通フォームを使った授業づくりプランを作成して学校を支援している。

1人1台端末時代
 変わる教員の役割

「これからの教員の役割は、児童生徒の自主的・協働的な問題解決力を育む学習活動を支えることにある。タブレットPCとインターネットという情報収集の最強ツールを子供に提供して、アクティブな学びを支援しなければならない。ところが実際は、教員だけがタブレットPCを使うことが多く、なかなか生徒に使わせない学校も多い」という。

自らが十分に理解していない道具を生徒に与えることに不安を感じる教員が多いようだ。しかし、「デジタルネイティブである子供たちにはかなわない。教員が教えなくても生徒はタブレットPCの使い方を自ら研究し、学び、それを互いに伝え合うという新たな学びのサイクルが生まれていく」とする。

ICTを使った学びを成功させるためには、校長や管理職、ミドルリーダーがその活用に積極的であることも重要だ。ミドルリーダーが先導してICTを活用している学校は、活用が図られていると報告した。【講師】鹿児島市教育委員会学習情報センター・木田博氏

 

【第28回教育委員会対象セミナー・福岡:2016年1月29日】

【2016年3月7日】

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