教育委員会対象セミナー・東京 ICT機器の整備計画/校務の情報化

教育委員会や学校の整備担当者を対象にした教育委員会対象セミナーが7月7日、東京都内で開催された。主催は教育家庭新聞社。今回で第24回、今年度一回目となる本セミナーは、総合教育会議の影響か、首都圏を中心に全国の教育委員会からこれまで以上に多彩な部署の参加があった。8月は京都、10月は大阪で開催する。詳細日程は教育家庭新聞Webへ。
詳細=www.kknews.co.jp/semireport

発想力と感性を磨き授業づくりに活かす 文教大学教育学部 今田晃一教授

文教大学教育学部 今田晃一教授
文教大学教育学部
今田晃一教授

デジタルネイティヴの感性を活かす

文教大学教育学部の今田晃一教授は、「デジタルネィティブ世代の若者はすごい。彼らの良さを認め、生かす方法を考えることが今後は求められる」と語る。

特に優れていると感じるのは映像や音楽に関する感覚だ。選択眼、読み取る力、イメージする力が秀でているという。例えば大学の授業でYouTubeを使い、ある映像を見せて議論を投げかけると授業が活発になるという。今田氏は、そんな学生の特徴を考慮して幼稚園や学校を訪問し特別授業を展開している。

70名の学生と幼稚園を訪問した際には、タブレット端末(iPad)を使って学生3人1組で教材を作り幼児と楽しみながら学び遊んだ。文部科学省のプログラミング教材を使い、オープニングの映像も制作。最後の5分間で学生が教員にICT機器の活用方法について説明した。

福島県石川郡平田村の小学校を訪問した際には、学生がファシリテータ役になり、90分間の授業を担当。iPadでのムービーの作り方を児童に教えると、児童がその日に1分間のお礼ムービーを作ってくれたこともある。

文教大学では、文部科学省による初等中等教育段階でのプログラミング教育推進の流れを受け、1年生は全員が1か月間、プログラミング学習を行っている。

今後重視されるアクティブ・ラーニングについては「教員による一方的な講義形式の教育と異なり、学習者の能動的な参加を取り入れた教授・学習法」であり、ICTを活用した学習活動に馴染みやすいと語る。

「今後はアクティブ・ラーニングというコンセプトでどんな授業をするかについて組み立てを考える必要がある。教育にICTを取り入れることにより、主体的・協働的な学習が促進されることは間違いない。ただ大切なことは、活動だけでなく、知識や思考力すべてを含めて捉えること」と語る。

「一斉授業、個別授業、協働学習と、異なる学習形態の中、ファシリテータとしての教員の役割、グループ学習をコーディネートする力が重要になる。1人1台のタブレットを活用する際にその力は一層重要性を増す」
今田氏は平成7年の100校プロジェクト以来、学校のICT活用のサポートに関わっている。その経験から、学校におけるICT活用のモデルが「完全に変わった」と指摘する。従来はプログラミングが得意でPCを自作した経験があるようなICTに非常に詳しい教員が中心だった。現在は、以前はコンピュータも触ったことがないような教員がタブレット端末などを活用して良い授業をしている。

「こうしたら子供たちが喜ぶ、楽しいかもしれないと発想できるセンスが大切。どの学校も抱える校内の複雑な環境下、子供たちにまず楽しさの提供をすることも必要だ」と語った。(講師=文教大学教育学部今田晃一教授)

【第24回教育委員会対象セミナー・東京:2015年7月7日】

【2015年8月3日】

 

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