教育委員会対象セミナー・東京 ICT機器の整備計画/校務の情報化

教育委員会や学校の整備担当者を対象にした教育委員会対象セミナーが7月7日、東京都内で開催された。主催は教育家庭新聞社。今回で第24回、今年度一回目となる本セミナーは、総合教育会議の影響か、首都圏を中心に全国の教育委員会からこれまで以上に多彩な部署の参加があった。8月は京都、10月は大阪で開催する。詳細日程は教育家庭新聞Webへ。
詳細=www.kknews.co.jp/semireport

”簡単で壊れない”環境を徹底的に使う 古河市教育委員会指導課 平井聡一郎課長

古河市教育委員会指導課 平井聡一郎課長
古河市教育委員会
指導課
平井聡一郎課長

LTE対応のタブレット端末で検証

古河市教育委員会指導課の平井聡一郎課長は、スマート教育ICTの実現に向けた取組について報告した。

平井氏は「これから生きる未来がどんなに苛酷でも、必ず生き抜く力を身につけさせることが学校教育の責務」と語る。「基礎学力」「21世紀型スキル」両者を向上するには物理的な時間の制約がある。そこを「教育ICT」と「教員の意識」で支援していく。

古河市(小学校23校・中学校9校)の全小学校には平成26‐27年度にかけて大型ディスプレイや書画カメラ、デジタル教科書を整備。

中学校全9校には、平成25‐26年度にタブレットPC41台、電子黒板、無線LAN環境を整備。提示画面は、人数×2インチつまり、30人学級なら60インチ、40人学級ならば80インチが望ましいと語る。

使いやすい環境=「スマート教育」

今年度からは、「無理のないICT活用」を「スマート教育」として3つの施策「通常整備」「重点整備」「教育ICTエバンジェリスト育成」に取り組んでいる。

通常整備校20校ではグループ1台のタブレット端末活用方法を検証。

重点整備校3校では、1人1台のタブレット端末活用で圧倒的な成果を上げることが目標だ。

教育ICTエバンジェリスト養成は、各校の中心教員を育むことを目標に、今年度は小中学校32校から15人を公募。

1教員につきタブレット端末10台とプロジェクター、充電保管庫などをワンセットとして貸し出す。

これら3つの施策において「簡単で壊れない」「徹底的に使える」教育環境を目指し、次世代高速携帯通信規格LTE(LongTermEvolution)対応のタブレット端末(iPadAir2)・サーバ不要のクラウド環境を整備する。

クラウドであれば、サーバメンテナンスや技術的知識・負担も不要だ。また、LTEモデルであればどんな環境でも接続して学ぶことができる。

コンシューマ向けのように回線とタブレット端末を同時購入することでトータルコストを圧縮できる可能性もある。

通信サービスも3年契約

調達については行政職員と指導主事が連携して行うこととし、「プロポーザル」「競争入札」「運用管理保守契約」の3段階で進めた。

まず、通信サービス一式を3年間の長期契約と決め、端末の種類も含めて通信キャリア事業者を対象にプロポーザル提案を要請。いずれのキャリア事業者もそれぞれに強みがあったが、古河市で最も通信品質が良い事業者に決めた。

次に、決定したタブレット端末と初期設定作業において競争入札を実施。運用保守はその後、落札事業者との契約を予定している。MDM(Mobile Device Management)やグループコミュニケーションアプリ、タブレット用授業支援アプリなども導入した。

産学連携などによる実証・検証も複数実施している。

先導的システム実証事業(総務省)の研究協力校やICTを活用した教育推進自治体応援事業(文科省)のほか、「学力向上」については凸版印刷・慶応義塾大学と産学連携で検証。NTTドコモとも同様のテーマで検証している。

今後3年は、これら整備の成果と評価に注力。学期ごとに質問紙調査も行い、学力向上を実現する授業モデルや公立学校における教育ICTの整備モデルの構築に努める考えだ。(講師=古河市教育委員会指導課・平井聡一郎課長)

【第24回教育委員会対象セミナー・東京:2015年7月7日】

【2015年8月3日】

 

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