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"見せる" "隠す" "編集する"
家庭科 H23年度版 指導者用 デジタル教科書で

 小学校ではこの4月から新学習指導要領が本格実施する。それに伴い各教科書会社からは新学習指導要領に対応した指導者用デジタル教科書が用意されている。いの町立伊野南小学校(岡則明校長)では、本年10月に開催される小学校家庭科全国大会の公開授業に向け、3月発売の指導者用デジタル教科書「小学校家庭科」の試作版(東京書籍)を先行して活用している。5年2組の家庭科の授業を取材した。授業者は山ア和子教諭。

いの町立伊野南小学校

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▲教科書の図の一部をデジタル付箋で隠して考える

 「お米を食べるまでにすることは何ですか?」

  山ア教諭が児童に質問すると、児童たちから答えがいくつか返ってくる。

  「それでは答えを見てみましょう」

  山ア教諭の指示で、児童が電子黒板上のデジタル付箋をひとつずつ剥がしていった。付箋を剥がすと、画面には「洗う」、「吸水」、「蒸らす」、「炊く」、「ほぐす」、「盛り付け」などのキーワードが現れる。これらのキーワードはバラバラに並んでいる。

  「順番が大事ですよ」

  山ア教諭は児童とのやりとりの中で、正しい順番を画面に書き込んでいった。

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▲教科書画面がそのまま大きく映せる
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▲教科書にグラフは、数値を消して
表示することもできる

  これは、デジタル教科書の「My教科書エディタ」機能を使った自作教材だ。デジタル教科書上の図版や写真を使って自由に編集できるというもので、山ア教諭のお気に入りの機能のひとつ。

  「My教科書エディタで教科書にある絵やグラフなどの素材を使った教具作りが自分でできるので、授業案に沿った教材作りが簡単にできるようになりました。子どもに集中させたいとき、あっと言わせたいときの教具作りにとても便利」と話す。中でも山ア教諭が気に入っているのが、「デジタル付箋」だ。

  これは、教科書上の本文や写真など任意の箇所を隠すことができるもの。山ア教諭は「注目させたい部分」を隠すために「デジタル付箋」を使う。隠すことで注目を集めやすくなるからだ。

  このほか、デジタル付箋は、正解を隠して問題を解いたり、付箋を少しずつずらしてヒントを提示しながら考えを深める場面でも使う。大きさや色も任意で変えることができるので様々なものを意図的に「隠す」ことができる。

  「My教科書エディタとデジタル付箋は、とても有効な教具になります。子どもたちの驚く顔を想像しながらの教材作りは楽しい。授業アイデアを簡単に実現しやすくなりました」

  指導者用デジタル教科書はほかにもいろいろな機能があり、活用範囲が広い。例えば授業の最初には、「44ページを開いてください」と電子黒板に教科書のページを提示するだけで、その日の学習内容のスタート地点を整えられる。

  教科書に掲載されているグラフや表の値を消したり、途中まで提示する機能は、予想をたてたり、話し合いを通じて考えを深めることができる。

  動画を使って、「三角おにぎりの作り方」や「米の炊き方」を視聴、確認してから、実習に入ることもできる。「動画を見ることで、これからしなければならないことが明確になりますし、やるぞ、という意欲も増す」効果があるという。

"定着"させたい箇所はデジタル付箋で"隠す"

子どもにとってのメリットがあれば 積極的に使うべき

  同校は、平成21年度文部科学省による「電子黒板を活用した先端的教育・学習に関する調査研究校」でもあり、全教室に電子黒板が設置されている。家庭科のデジタル教科書のほか、国語デジタル教科書、社会科の掛図、理科ではNHKの動画教材、外国語活動用デジタル教材を始め様々な指導者用デジタル教科書・教材を活用している。

  岡校長は長年視聴覚教育担当でもあり、ICTの教育活用に積極的だ。

  「一斉指導を成功させるには、最初の指示が重要。電子黒板や書画カメラによる視覚支援は授業の最初の周知徹底にとても便利。その点が先生たちにわかれば、もう使わないわけにはいかない。いまやないと不便なものになっています」と述べる。

  デジタル教科書や教材については、「子どもたちの『やってみたい』気持ちを促し、経験値を増やす体験活動としても重要です。豊富な教材があれば、教えることに困りません。今では、授業は黒板+αでデジタル教科書や電子黒板を使うことが当たり前になりました」

  4月から各教科で電子黒板等を使い、指導者用デジタル教科書の活用も始まる。「チョーク一本で授業ができないわけではありません。しかし、有効なデジタル教材や電子黒板を使ったほうが子どもにとってメリットがあれば、積極的に使うべき。授業の成功に向けた研究に伴う苦労は幸せなこと。今後も研究校として、前向きな教師集団と共に、この活用効果を地域に広める役割を果たしていきたい」と話す。

【2011年4月4日号】


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