教育家庭新聞・教育マルチメディア新聞
TOP教育マルチメディア>記事
バックナンバー
最新IT教育―実践、成果を報告―

教育マルチメディア

教育ICT活用実践研究 全体報告会

ICTの利活用 全国132校の成果

 2月25日、文部科学省で教育ICT活用実践研究―全体報告会(主催=文部科学省・共催=教育ICT活用普及促進協議会)が行われ、585名の参加があった。文部科学省では、これまで「電子黒板を活用した教育に関する調査研究」及び「デジタルテレビ等を活用した先端的教育・学習に関する調査研究」を実施しており、全国で132校の小中高等学校が実践研究に取り組んできた。教育ICT活用普及促進協議会では、これら実践研究校の研究成果を地域で広く共有、より多くの教員にICTを日常の授業等で活用することを目的に、全国7ブロックで発表会を開催してきた。ブロック別発表会には、延べ2500名の教員や教育委員会等が参加している。全体報告会は、全国規模での情報交流を進め、さらにICTの教育活用を推進する。

 全体報告会では各ブロック幹事校から「ICT活用before after―ICTを活用してどう変わったか」が発表された。

情報提示・理解促進・コミュニケーション促進

九州・沖縄ブロック

写真
▲活用範囲が拡がり、必要度が増えた

  北九州市立門司海青小学校は、ICTの活用レベルを3つに分類した。レベル1を理解(ノート等の資料を提示し、書き込みや拡大をするなど)、レベル2を表現(プレゼンテーションソフト等で調べたことをまとめ発表するなど)、レベル3を思考(提示した資料に児童や教員が書き込み、拡大しながら考えについて話し合うなど)とし、レベル1から3まで段階的に活用を進めることで、電子黒板が日常的に活用され、教員の意識も変わり、児童が自分の意見を表現する場面が増えたと報告した。また、児童への電子黒板の活用アンケート(全学年児童対象331名)では「電子黒板を使うと分かりやすい」などの肯定的回答が95%、「友達の発表は分かりやすかったか」肯定的回答92%、「今後も電子黒板を使っていきたいか」肯定的回答95%であった。

関東・甲信越ブロック

  横浜市立茅ヶ崎小学校は、ICTを活用して表現することで学び合いの可能性が広がると報告した。少人数でのグループ学習は、児童だけで実物投影機等の機器を活用し、写真、図書資料、プレゼンソフトで作成した自作資料、デジタル映像・動画などを使い情報を共有し合い進んで学び合う姿が見られた。

四国ブロック

  いの町立伊野南小学校は、ICTを活用することで、拡大表示が簡単にできるようになり、これまで時間を要していた拡大資料の作成等の授業準備が簡便化した。関心意欲の向上に役立ち、一人ひとりの理解が深まり、クラス全体での情報の共有化ができた。

  電子黒板の積極的な活用を促すには、日々の教育環境、生活導線においてICT(電子黒板)が身近な存在となる運用が重要と指摘。授業スタイル別の電子黒板活用実践の提案として、教師による情報提示型活用、教師による提示情報を児童生徒が操作することによる理解促進型活用、児童生徒によるコミュニケーション活性化型活用、教師による提示情報の個別学習支援型活用等があり、なぜこのシーンに電子黒板が必要なのか、使うことによってどのような学習効果を高めるのかを検討することも重要であると述べた。

東海・北陸ブロック

  岡崎市立羽根小学校は、校内に10台あるタブレットPC(以下、TPC)と電子黒板を活用した理科の授業などが報告された。TPCと電子黒板の連携で、記録を振り返りながらの話し合いや、根拠を示しながら意見交換できることなどにより、協働的な学習場面を提供できると述べた。

関西ブロック

  堺市立深井西小学校は「教室専用ニンテンドーDSi LL」を活用した算数「立体」の授業の模様を報告した。DSのカメラ機能を使い校内の立体を個別に撮影し、電子黒板に投影、クラスで情報を共有し、授業の最後には学習の定着を目的とした練習問題を行った。

  角柱と円柱の評価テストでは73%の児童が90点以上を獲得した。電子黒板は導入されてまだ1年だが全教職員で取り組んでいる。

中国ブロック

  日南町立日南小学校は、「英語ノート」は電子黒板と相性が良いと報告した。児童へのアンケート「電子黒板を使うと説明しやすいか?」では、肯定的回答が6年生で75%。使用頻度も10年10月時点でほぼ毎日使用している。活用範囲の広がり、負担意識の軽減、必要性の増加が挙げられた。

北海道・東北ブロック

仙台市立愛子小学校は、創立2年目の大規模校で若手教員が多いことから「授業技術」の向上を研究課題としている。授業技術向上案により意図を明確化し、研究授業は年70回行う。ICT活用と板書の関係、ノート指導やグループ学習なども授業技術として捉え、子どもたちの発表や表現力を高めるツールとして活用している。

【2011年3月5日号】


記事のご感想をお寄せください

新聞購読お申し込みはこちら