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― 21世紀の学校環境 成果と事例から学ぶ ―
情報モラル教育は「道徳」で取り組む

JAPET教員研修

 1月22日、JAPETでは、情報教育対応教員研修セミナーで「情報モラル教育と道徳の授業」をテーマに開催し、全国から400名余りの学校教員や教育委員会担当者が参集した。

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▲横山利弘教授

 横山利弘教授(関西学院大学教職教育研究センター)は、情報モラル教育について、「メールや掲示板、プロフ、ケータイの使い方など、機器やネット環境の発達に伴い、様々な問題が生じてきた。個別事例での対応に焦点を当てていては時間不足で、限界は見えている。ICTの中の『C』(=コミュニケーション)が抜け落ち、ITの魔力に引っ張られてしまったときに問題が起こる。

 今後は、正しいか否か、危険か安全かの判断基準となる心を育むことに焦点を当てた情報モラル教育に取り組んでいかなければならない。全ては心の問題に帰結する」と述べる。

  また、情報モラル教育について、「情報モラルという特別なモラルがあるわけではない。情報機器を利用するときには一層の配慮が必要であるという性質のモラルを情報モラルと表現しているだけ」と指摘した。

  これまでの道徳教育については、生活指導と混在しており、教員養成課程でも取り組む時間が不足していることを指摘し、今後は教員養成課程も変わる必要があると言う。

  また、座学で情報モラル教育の効果は上がるのかという懸念に対しては、「道徳的な視点で、主人公の行為や考え方がなぜ変化をしたのかについてじっくりと考える時間を積み重ねていれば、子どもは変わっていく。道徳的な実践ができる子どもはイメージ力の強い子ども。そのイメージ力を育むためにも、文字情報を頭の中で映像化する読み物教材が適している」と述べた。

■「道徳的な変化」に注目して読み込む

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▲行本美千子氏

 横山教授の提唱する道徳教育を支持し教材研究や教材開発に携わる行本美千子氏(神戸市立高倉中学校前校長・日本道徳教育学会近畿支部長)は、「国語的な読解と道徳的な読解では視点を変える必要がある」と話す。
「起」は、道徳上の問題の発生、「承」は、主人公の行為について悩み葛藤する場面、「転」は、主人公が何かのきっかけで道徳的に変容する面だ。

  道徳的な視点で教材を読み込むと、国語的な読解による起承転結と明らかに異なることがわかる。この視点から教材を読み込み、構図化してから、教材の「ねらい」につながる基本発問を考える。当日、参加者は実際にグループに分かれ、教材を読み込み、道徳的な視点に則った読解法から中心発問を考える演習も行われた。

 

 

■情報モラル教育教材を開発

  横山氏は、情報モラル教育の特性を盛り込んだ道徳用読み物教材「想いとどけて」を監修した。対象は小中学生。提示用ソフトや、テレビで視聴できるDVD‐ROMなども付属した。
 予価=5万9850円(税込) 問合せ=広島県教科用図書販売株式会社 Tel082・291・1088

 

21世紀の学校教育をICT環境で支援 「教育の情報化」推進フォーラム

▽日時=3月4日(金)・5日(土)

▽主催=財団法人コンピュータ教育開発センター(CEC)▽場所=東京国際交流館 プラザ平成(東京都江東区)
▽内容=特別講演「スカイツリーの不思議なかたち」澄川喜一氏(彫刻家、文化功労者、元東京藝術大学学長、日本藝術院会員)、基調講演「教育の情報化ビジョン」齋藤晴加氏(文部科学省生涯学習政策局参事官)、分科会「新学習指導要領における情報モラル教育に向けて」、「実証実験:教員テレワーク環境」、「21世紀型コミュニケーション力の育成」、新学習指導要領に対応した「ICT活用実践」事例発表ほか

▽詳細・申込=http://www.cec.or.jp/e2e/symp/22tokyo.html

全国小中高132校の研究成果と情報交流 教育ICT活用実践研究 全体報告会

▽日時=2月25日(金)10時〜17時

▽主催=文部科学省 ▽場所=文部科学省 3F講堂(東京都千代田区) ▽内容=ICTの教育活用に関わる文部科学省の「電子黒板を活用した教育に関する調査研究」及び「デジタルテレビ等を活用した先端的教育・学習に関する調査研究」に取り組んだ132校の成果報告会。全国7ブロック幹事校の報告、児童・生徒のICT活用力を高める授業デザイン、教材・機材紹介など。

▽申込=http://www.chidigi.jp/

 

【2011年2月5日号】


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