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学齢簿管理・就学援助・就園奨励・奨学金管理・給食費管理
自治体の情報化が急速に進んでいる。その一方で、学校事務の主管部門である教育委員会は全般的に情報化が遅れている部門であり、まだ課題が多い。総務省「電子自治体推進」構想でも、自治体と教育委員会のデータ連携の重要性が指摘されている。学齢簿のデータを入学通知の出力に活用している自治体は53%、就学援助などとデータを連係しているのはわずか18%にとどまるというデータもある。
それに加え、平成24年7月の「改正住民基本台帳法の施行」により、システムの大幅入れ替えが必須となっている。既存システムの入れ替え、機能追加が迫られている中、従来からの課題であった他の業務システムの導入も活発に行われている。こうした需要をも取り込んで、地方自治体向けパッケージを提供しているアイティフォー(東京都)は、自治体と教育委員会などの業務を連携できる「キャルス(CARS)学務支援システム」の提供を開始した。
オープンシステム対応 カスタマイズも提供
「キャルス学務支援システム」(以下、「キャルス」)は、Web対応型の統合パッケージ学務処理ソフトだ。総務省が進める電子自治体推進構想の中で自治体の業務システムのオープン化が指向されているが、「キャルス」はオープンシステム対応であることから、販売開始早々であるにも関わらず導入が増えている。導入コストが低く、自治体の仕様に合わせたカスタマイズも提供できる点が特徴だ。
年度更新時の作業も軽減
「キャルス」では、住民基本台帳(住基データ)のデータはもちろん、担当の課で利用しているデータ、あるいは担当者により属人的に処理されているエクセルなどのデータを取り込むことができる。導入時に既存のデータを取り込むことができるので、簡単に移行、利活用することが可能だ。
また、年度更新処理により、進級や進学処理をシステムで統合的に管理することができるため、年度更新時の作業も軽減できる。
「キャルス」の構成要素は5つ。各市町村の小中学生の就学情報(転入、転校、区域外就学など)を管理する「学齢簿管理」、学用品や給食費などを援助する就学援助制度にかかる認定、支給業務を支援する「就学援助」、私立幼稚園に支給する奨励金の管理から支給までを管理する「就園奨励」、高校生以上を対象にした奨学金の申請から支給、償還まで管理する「奨学金管理」、各学校または給食センターなどによる給食費の徴収状況の管理、及び未納者への督促を管理する「給食費管理」だ。それぞれ単独あるいは複数のシステムを組み合わせて導入できる。
▲ブラウザ画面で操作できる |
基幹システムと同時に学務システムも導入を
平成24年7月施行の「住民基本台帳法の大規模改正」では、外国人登録者を合わせて管理する必要があり、住民記録が大きく影響を受ける。地方税、国民健康保険、選挙などの基幹業務は住民基本台帳のデータを基に行われているため、法改正に伴う住民基本台帳システムの更新の影響は大きい。
教育行政も同様だ。就学案内、児童生徒の就学状況の把握など教育行政事務の基本データは、住民基本台帳システムから「学齢簿」として抽出されているため、教育行政事務のシステムも影響を受ける。
各自治体とも住民基本台帳法の改正に伴い、平成24年7月までに基幹システムの対応が必至となる。今回行われる基幹システムの対応、すなわちシステムの入れ替えに伴い、行政全体のシステムの見直しを行う自治体も多い。見直しの一環として学齢簿を中心とした業務のICT化も検討する好い機会だ。
アイティフォーの竹下淳二氏(ソリューションシステム事業部 営業3部 公共システム担当)は「教育行政の担当者の中には、従来の学務系システム構築には多額な費用が必要であったため、導入をあきらめているケースも多い」と指摘する。同社の「キャルス」について、「パッケージ化しており低コストで必要な機能のみ導入できます。また移行業務がスムーズに行え、カスタマイズも可能です。そんなキャルスを多くの人に知ってもらいたい」と話す。
CARS学務支援システム
小中学生の就学情報を管理 「学齢簿管理システム」
新入学生への健康診断通知書や就学通知書などの就学案内。小学校・中学校の卒業までの児童・生徒の就学状況の管理。Webアプリケーション上で操作でき、ネットワークに接続できる端末であれば、庁内LAN・学校など、ID・パスワードを入力することでどこの場所からでも管理システムが利用できる。
就学援助認定・支給業務を支援
「就学援助システム」
小学校・中学校の児童・生徒の就学援助費申請受付・認定から、費目ごとの援助費の支給管理までの、就学援助管理業務が行える。就学・特殊/要保護・準要保護ごとに管理ができ、費目・児童生徒ごとに振込先(学校、保護者等)も指定が可能。同じ費目でも、振込日を複数指定することもできる。
所得に応じた支給を管理
「就園奨励システム」
私立幼稚園の園児への、就園奨励金の受付・認定処理から費目ごとの支給管理まで、就園奨励業務を行う。頻繁な入園児、退園児の処理に適応し、減免対象者を自動決定、減免額は年齢、何子、階層(独自)に対応する。満3歳児、3歳児、4歳児、5歳児の園児の保護者について市町村民税の所得割額の合計により支給の可否を決定する。
高校生以上が対象
「奨学金管理システム」
高校・大学等への進学の際の貸付から、卒業後の償還までの奨学金管理業務を行う。納付書の発行や金融機関への振込・引落FDの作成、金融機関からの引落結果FDの読込による、償還台帳の自動消し込みも可能。
給食費用の管理を簡便に「給食費管理システム」
給食費事務、未収金整理事務等の学校給食費管理業務をサポート。給食費管理業務に関する事務処理の大幅な省力化と効率化を実現する。
問合せ=アイティフォー ソリューションシステム事業部
東京都千代田区一番町21番地一番町東急ビル
TEL=03‐5275‐7841
URL=http://www.itfor.co.jp/
【2011年1月1日号】