教育家庭新聞・教育マルチメディア新聞
 TOP教育マルチメディア>記事         
バックナンバー
最新IT教育―実践、成果を報告― ICTフィンランド教育

教育マルチメディア

韓国の情報化

ACCU韓国視察

渋谷教育学園 幕張中高 笹川清喜氏

  財団法人ユネスコ・アジア文化センター(ACCU)では、韓国の初等中等教育における教育制度の理解を深めることを目的とし、日本の教職員を韓国に派遣するACCU国際教育交流事業を行っている。同事業は韓国政府に高く評価されており、第5回プログラム以来毎年54名の教職員が韓国視察に訪れている。第7回となる2010年度も8月25日から9月3日に訪韓。メンバーである笹川清喜氏(渋谷教育学園 幕張中学校・高等学校)より韓国の情報化事情を報告する。

タブレットPCでデジタル教科書も

 今回の訪問で、韓国はデジタル教科書に関して、一歩先に実証実験を行い、成果を出していると感じた。授業参観した「電子教科書を活用した授業」の内容は多岐にわたるが、子どもたちは、各種コンテンツの活用に精通しており、コンピューターリテラシーも驚くほど高い。

  Webサイトにはデジタル教科書を活用した授業例が掲載されており、その他のコンテンツも充実している。韓国では過去の情報メディア活用の成果から持続可能なICT活用に着実につなげていると感じた。
訪問した学校では、PCを内蔵した教卓や机を随所で見かけた。電子黒板あるいはテレビ、プロジェクターなど提示装置は様々だが、現状ではプロジェクターまたはテレビが多いようだ。書画カメラは日本ほど活用されていない。

  ある高校で、教室の入り口にユニークなものを発見した。携帯電話を置く箱である。授業の際、携帯電話を箱に入れ、自分の席に着くのを習慣としている。これは韓国の一般的なスタイルということだ。日本では携帯電話の持ち込みについて議論している学校もある。この運用からも情報メディア利用に対する考え方が韓国と日本では、大きく異なると感じた。
以下に各校の環境の特徴をまとめる。

好楮初等學ヘ(公立)

画像
▲ 携帯電話の置く箱がある

  小学校5年生の「電子教科書を活用した授業」を参観。同校は、デジタル教科書活用研究指定校(パイロットスク‐ル)だ。授業の際、児童は机上にタブレットPCを置き、教員はスライド式の黒板を開け、埋め込んである電子黒板を活用する。教師用PCもタブレットPCだ。生徒・教師のPCは、無線LANでインターネットに接続されている。
教員は電子黒板を使い、動画を見せたり、問題を提示したり、子どもたちのPC画面の一覧を電子黒板に映して進捗状況を見せるなどしていた。児童らは授業中、教員の質問の答えを電子ペンでPCに直接書き込んでいる。

  ネット検索(twikr)を活用、PC内蔵のカメラで動画を処理し、電子黒板でプレゼンテーションする。タイピングは両手でブラインドタッチだ。
 その他の普通教室では、机上のPCをデジタルテレビに接続して提示用として使っている。コンピュータ室は、すべてのPCを机の中に埋め込んである。昼休みには数人の児童が調べ学習をしていた。

▲ 提示機器は、プロジェクター(右)テレビ(中)電子黒板(左)が混在

 

▲ タブレットPCで解答したり操作したり

新南中學ヘ(公立)

  すべての普通教室と特別教室に天吊りプロジェクターと教育用PCが設置されており、教員は、すべての授業で活用する。これは韓国の一般的な学校環境ということだ。同校は2008年、ICT活用教育優秀学校として表彰されている。

漢陽大学校師範大学付属高校(私立)

  同校の図書館は電子化が進んでおり、多くの蔵書はPCで見ることができる。図書室に隣接するLAI室(Library‐assisted Instruction room)が印象的であった。教室前方にPCの映像を映すスクリーンとデジタルテレビがあり、六角形のテーブルにモニターが数人分配置されている。PCは足元に置かれており、話し合いしやすい環境だ。

  普通教室は日本と似ており、机上のPCをデジタルテレビに接続して提示用として使っている。特別教室では、天吊りプロジェクターと教育用PCを設置。ペンタブレットを使い、教員が指導。

【2010年10月9日号】


記事のご感想をお寄せください

新聞購読お申し込みはこちら