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小学校英語で身につけた「聞く力」さらに伸ばす
―茨城県・つくば市立谷田部東中学校

 茨城県つくば市立谷田部東中学校(市川一典校長)では、「学び合い」を積極的に取り入れた授業と授業の質を高める指導方法の工夫に取り組んでいる。英語科の寺島清一教諭は、「NEW HORIZON」準拠のデジタル教科書や自作教材、ピクチャーカードなどのアナログ教材を組み合わせ、学び合い活動に活かしている。デジタル教科書を授業で活用するようになってから7年を経、その活用方法も変化してきたという。1年5組の英語科の授業を取材した。

茨城県・つくば市立矢田部東中学校

音声のみで内容を把握

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▲ デジタル教科書のさし絵と
音声のみで内容を読み取る

 つくば市は十数年前から独自の小学校英語活動(外国語活動)に取り組んでおり、小中学校には様々な国籍を有したALTが派遣されている。現在の中学校1年生は小学校で英語の音声活動を十分に楽しんでから中学校に入学している。そこで寺島教諭は、小学校との連携を重視し、音声活動に重点を置いた授業展開を心がけている。
 今日の授業は、UNIT4「日本大好き」だ。
 寺島教諭は、「(Put)everything in the desk!」と、机の上のものをすべてしまわせ、デジタル教科書の音声のみを生徒らに聞かせた。一度聴かせた後、「音声から登場人物を考えてみよう」と課題を与える。
 「How many people?
Is there a boy? A girl?」「動物の名前も出てきたよね、もう一度聞いてみよう」と、注意深く聞くための課題をいくつか与えてから、再度音声をリピートした。
 登場人物や新出単語などを確認した後は、本文読解だ。スクリーンに提示されたのは、「折り鶴」だ。
 「これを初めて見る外国人は、こう思うかもしれないね。会話を聞くよ」
 生徒たちは、2人の登場人物が「これは何?」「わからないけど、動物かな?」と折り鶴を見ながら会話する様子を音声のみで理解していく。ある程度内容を把握してから本文をスクリーンに投影し、読解に入った。

〜デジタル教科書で達成感〜

リピート・クイズ・ペア学習 ‐音声活動豊富に

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▲ デジタル教材とアナログ教材を
組み合わせて指導する

 新出単語の理解には、アナログのピクチャーカードを使いながら寺島教諭がaとanの違いなどを解説していく。十分にオーラルコミュニケーションをした後は、デジタル教科書の音声を流し、全員で繰り返す、1人1人繰り返す、読み上げている音声部分の色が変わる文字を確認しながら追いかけてリピートするなど、手法を変えながら何度もリピート練習を行った。
 最後は2人ペアになってのクイズ学習だ。全員が起立し、1人は教室後方を向き、もう1人はこれから何がスクリーンに投影されるのかを見て答えを把握しておく。
 答えを知っている生徒が「What is that?」と質問。答えを知らない生徒は、加工された画像を見て何が投影されているのかを考え、英語で答える。正解ならば2人とも席に座ることができる。
 投影される問題は、「アイフォン」を横から見たもの、地球に帰還した惑星探査機「はやぶさ」などの写真を引き延ばしたり絞ったりして加工を加えたものだ。オリジナル教材の作成について寺島教諭は、「ひと目見て明らかに何かわかるものについて、これは何かと尋ねるのは不自然。これは何だろう、と思えるものを課題に取り上げることで、今学んでいる内容をより身近かな表現として感じてほしい」と話す。


音声活動を徹底 学び合いに発展

 小学校外国語活動を経てきた生徒たちの特徴として、「ALTのスピーチを週1回聞かせているが、小学校外国語活動を経てきた子どもたちは、5分でも10分でも熱心に耳を傾けておりその話の意味を大雑把にでも理解できる子どもが多い」と評価する。「聞く」活動を徹底的に行ってから本文読解や本文通読に入るスタイルは「小学校外国語活動を通して音声表現に十分に慣れ親しんできた経験をより伸ばす」目的から生まれたものだ。寺島教諭は「小学校外国語活動で培ってきたものを中学校英語で受け継ぎ伸ばしていきたい」と話す。
 アナログのピクチャーカードやデジタル教科書の使い分けについては、「アナログのピクチャーカードで、子どもの様子を見ながら速さを変え、解説を随時加えることで十分に理解を図り練習を積んでから、デジタル教科書の音声リピートに挑戦する流れを作りたい。デジタル教科書では、虫食いモードでのリーディング、チャレンジや確認、まとめなど、達成感を得るために活用している」という。
 学び合い活動としては、ユニットごとに復習・定着活動として、インタビュー活動を行う。ペアになり、寺島教諭が作成した15の質問について、一方は英語で質問をし、一方は英語で答える。一方は日本文を言い、一方はその日本語を聞いて英語にする、という活動を継続的に行っている。

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■ICT教育はつくば市の柱 市川一典校長

 ICT教育はつくば市の教育の柱のひとつ。情報担当を中心として活動が進んでおり、毎年つくば市で作成しているICT活用事例集には、全教科で一事例ずつ提出している。
 生徒数が多くICTを授業で活用するためのプロジェクター台数はまだ不足しているが、教科教室を使うなど様々な工夫をして活用を進めている。科学技術に興味を示す生徒が多く、技術科では2年連続ロボットコンテストの全国大会で入賞しており、現在3年連続入賞を目指している。

【2010年9月4日号】


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