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書画カメラで実物超えるインパクト
―東京都・練馬区立練馬東小学校

 練馬区立東小学校(小笠原恒男校長)では昨年度の補正予算で、50インチの地デジ対応テレビ4台、電子黒板1台、プロジェクター1台が配備された。テレビは図書室、音楽室2教室、理科室に、電子黒板は家庭科室に設置。同校の安藤教諭は昨年度から書画カメラ「CP‐LIGHT」(アバーメディア・インフォメーション)を活用しており、この春から同社の新製品「AV‐355AF」も追加、学年ぐるみで取り組んでいる。今年度3学年を担当している安藤智英美教諭、荻原元貴教諭、青木文郁教諭に活用方法と使い勝手を聞いた。

東京都・練馬区立東小学校

セッティングがとても楽でした

デジタルテレビ
▲ ハチの巣をデジタルテレビの
大画面で見ると、迫力満点

 「アバーメディアの書画カメラを初めて使ったときは驚きました。教室のアナログテレビと接続したところ、ケーブルを挿しこんで大きくしたいものを置けばオートフォーカスで焦点が合い、すぐに映り、セッティングがとても簡単でした。拡大しても画像が鮮明です。とても軽くて持ち運びも楽でした」
 これまで同校にあった書画カメラは1台のみで、焦点を合わすのに時間がかかるなど使い勝手に問題があり、活用が進んでいなかったという。現在は社会科で使う場面が多く、「3年生では、地域学習で練馬区や地域の地図を映しました。地図から自分の家を探せない子どももいますから、地図を見ながらこれから行く場所を予習し、さらに今日行った場所などを振り返りました。黒板で説明するには限界がありますので、書画カメラの活用は有効ですね」と述べる。
 算数ドリルの答え合わせでは、今どこを説明しているのかすぐにわかるので子どもたちからの聞き直しが少なくなり、集中力を切らせず授業を進めることができるという。
 理科専科の教員もよく使う。接眼レンズに専用アダプター(オプション)をつけると、書画カメラを顕微鏡に接続できるので、全員で敷地内の池の水を顕微鏡で観察した。「各自顕微鏡をのぞいているものの、ゴミや空気泡を熱心に観察してしまう子どももいるものです。書画カメラを使って全員一斉に顕微鏡画面を確認することで、今自分が見ているものが見るべきものかどうか、すぐにわかります」
 書画カメラを使えば、肉眼では確認できない微生物の細かな動きなども迫力ある映像として見せることが可能だ。顕微鏡に映った映像は静止画として書画カメラの内蔵メモリーに記録できるので、提示したものを保存し、学年や教科の教材として共有できる。さらに「AV‐355AF」なら、静止画だけでなく、PCを使わずに動画データをUSBメモリーやSDカードに保存することもできる。

学年集会でも説明が行き渡る

▲ 書面カメラの活用について アイデアを学年で共有する
安藤教諭、萩原教諭、青木教諭
 荻原教諭は、遠足の説明会で、電子黒板に書画カメラを接続してタイムテーブルやしおりなどを提示し、ルートを地図で確認するなどした。
 「3年生は、口頭の説明のみだと記憶に残りにくい面があります。書画カメラで視覚的に見せることで、重要事項を全員に周知させるのに役立ちました。これまでは説明したいものをスキャナーで取り込んで提示したり、拡大コピーしたりしていましたが、書画カメラは見せたいものを置くだけで良く、準備が短時間ですみます」
 教室では、子どものノートをよく映しているという。「3年生の場合、ノートの取り方にも細かい指示が必要です。何マスあけるのか、式と答えをどの位置に書くかなども、書画カメラで見本を提示すれば、瞬時に理解できます」
 子どものノートを映す場面が増え、丁寧に書く、きれいにまとめるなどの意欲も生まれた。 

大スクリーンでおすすめ図書

 青木教諭は昨年度、5年生の理科「生命の誕生」で、母体のおなかにいる赤ちゃんを想像して描き、児童同士お互いにどのような予想図を描いたのか、書画カメラを活用して発表し合うことができた。
 「テレビに自分の描いたものが細部まで大きく映りますから、発表する子どもも意欲的に取り組むことができました」
 青木教諭は図書委員会の担当でもある。5、6年生の図書委員が、集会で全校児童におすすめの本を紹介する活動で「AV‐355AF」を活用。低学年向け、中学年向け、高学年向けに紹介する図書の表紙などを見せながらあらすじを発表した。「初めて体育館の大スクリーンに映ったときは、子どもたちから歓声が上がりました。子どもたちが言葉だけで全校生徒を集中させるのは大変ですが、画像があると説明しやすく、聞いているほうも集中しやすいですね」

PCなしで 授業できる

 昨年度補正予算で配備された大画面のデジタルテレビや電子黒板と接続することで、拡大して見せる面白さも倍増する。「AV‐355AF」は500万画素を有し、ハイビジョンに対応。最大80倍までズームできるので、高画質映像に対応したデジタルテレビならば詳細部分まで鮮明に拡大でき、実物を見る以上にインパクトのある映像を提供できる。USBメモリーに動画や静止画などを保存しておけばすぐに投影できるので、デジタルテレビをより手軽かつ多様に使うことができる。
 今後の活用として安藤教諭は、「社会科の町探検で、デジタルカメラで撮影したデータを子どもたち同士の発表の場で使ってみたい。写真や動画データを書画カメラで投影するなど、PCなしで授業できるので、様々な場面で活用できそう。機械が得意ではなくても使える点が魅力ですね」と話す。3人は「今後もいろいろな活用を試してみたい。各教室に提示機器と書画カメラが常設されていることが理想ですね」と述べた。

【2010年9月4日号】


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