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教員1人につき1台の校務用PC配備に伴い、学校現場の校務を円滑に進めるためのシステムが求められている。カシオ計算機株式会社では本年10月より校務支援システムの販売を開始する。グループウェア機能、教務支援、地域連携機能を始め、事務職員や栄養教諭、養護教諭など学校に関わる全ての人が「元気な学校づくり」に携わることができるシステムの提供を目指す。担当者に開発意図を聞いた。
なぜカシオ計算機が「校務支援システム」を提供するのか。
「カシオヒューマンシステムズでは、人事システムの開発を手掛けており、個人データの取り扱いやセキュリティに関するノウハウが既に20年にわたって蓄積されています。人を管理、支援していくという点は校務支援システムと同じ。そこに、学校を対象にカメラや電子辞書、プロジェクターなどの提供を通して培った先生方の声を活かすことで、学校現場により喜ばれる校務支援システムを提供できると考えました。校務支援システム提供企業として最後発であることはデメリットであると同時に、これまでの問題をあらゆる角度から分析し、解決していけるものを提供しやすいというメリットもあります」
同社文教推進部では2年ほどかけ、全国の学校現場や教育委員会をヒアリング、数百件以上の声を広く集めた。その結果分かったことは、「それぞれの地域、立場で必要とされる運用ルールが異なる」点、「導入した当初は時間がかかる、導入して使っているうちに良さがわかる」という感想が共通している点であった。
そこで「導入してすぐに良さが分かるものでなければ慣れるまでの時間がもったいない。すぐに役立つ校務支援を提供したい」と考え、「導入してすぐに使える」、「研修なしでも導入できる」直感的なユーザーインターフェイスを実現、さらに、全国的な要望を吸い上げることで「様々な要望に応えることができる全国的に汎用性のあるシステム」を目指した。
「例えば、ある中学校の先生は、子どもの全教科の成績を知りたいという。一方他の中学校の先生は、担当教科の成績だけを知っていればよいと言う。学校長から見た省力化できるシステムと教育委員会から見た省力化したいシステムも異なる。その双方の両立を可能にしました」
カスタマイズで対応するのではなく、様々な利用ニーズに対応できる柔軟なシステムを構築、「全国的な汎用版」として提供していく考えだ。
さらに同社の多数のデバイス等資産を統合することでより豊かな校務支援への可能性も広がる。
「校務支援といえば、まずグループウェアから始まり、成績管理や指導要録のデータ化などが最終目標というイメージが大きい。カシオであれば、それにとどまらない様々な連携が可能です」
例えば、カシオの校務支援システム向けにリニューアルした「帳票連携/運用ツール」を提供することで現場に求められている柔軟なシステム構築が可能だ。カシオヒューマンシステムズで手掛けている人財活用支援システム「iTICE」のオプション「ココロ元気チェック」も教員向けに再開発、「元気な先生」を心理面からサポートする。これは、教員の心理面をセルフチェックできる診断ツールだ。
カシオの「ハンディターミナル」は、バーコードで備品管理ができる。これと連携して、学校備品管理をより円滑に進めることができる。また、様々な大きさのテープに印刷することができる「ネームランド」と連携すれば、キーボードを使わなくても名前シールなどを印刷することもできる。
カシオ計算機では、これらデバイスを単純につなげるだけにとどまらず、高いセキュリティを保持しつつ、直感的に操作できる使いやすさを提供していく。
第一段階としては、10月にグループウェアと教務支援に関するシステムを販売開始。その後、事務徴収金などを含めた事務支援や、栄養教諭と養護教諭の連携を可能にする子どもの心身両面からの健康管理システムなど、あらゆる角度から子どもたちを見守ることができるシステムを提供していく考えだ。
【2010年9月4日号】